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使い方

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HELLO WORLD

> vim HelloWorld.cl
println("HELLO WORLD");
> clover2 HelloWorld.cl
HELLO WORLD

クラスバージョンでは

> vim HelloWorld.clcl
class HelloWorld 
{
    def fun():static {
        println("HELLO WORLD");
    }
}
> cclover2 HelloWorld.clcl
> vim HelloWorld.cl
HelloWorld.fun();
> clover2 HelloWorld.cl

です。

ソースコード

clover2のソースコードには2種類あります。一つがクラスを定義したソースファイルで拡張子はclclとしてください。

> vim HelloWorld.clcl
class HelloWorld {
    def printHelloWorld(): static {
        println("HELLO WORLD");
    }
}
> cclover2 HelloWorld.clcl

> vim HelloWorld.cl
HelloWorld.printHelloWorld();
> clover2 HelloWorld.cl
HELLO WORLD

のようになります。cclover2 HelloWorld.clclはHelloWorld.oclclというクラスファイルを作ります。 clover2 HelloWorld.clはHelloWorld.oclという仮想マシン用の実行形式のファイルを作り、そのまま実行します。 2種類あるので、めんどくさいと思われるかもしれませんが、複雑なアプリケーションを作る場合はclclファイルを編集してクラスを作り 簡単なスクリプトを作りたいときはclファイルだけ編集することを想定してます。 なので、この例でいえば単にHELLO WORLDしたいだけなので

> vim HelloWorld.cl
println("HELLO WORLD");

> clover2 HelloWorld.cl
HELLO WORLD

で大丈夫です。

オープンクラスとincludeとmixin-layersスタイルコーディング

Clover2はオープンクラスなのでクラスの定義後フィールドやメソッドを追加することができます。やり方は単に元のクラスが定義されたソースファイルをincludeして、クラスを定義するだけです。

> vim("a.clcl");
class ClassA
{
    field1:int;
    def initialize(value1:int) {
        self.field1 = value1;
    }
    def setField1(value:int) {
        self.field1 = value;
    }
}
> vim("b.clcl");
include "a.clcl"
class ClassA
{
    field2:String;
    def initialize(value1:int, value2:String) {
        self.field1 = value1;
        self.field2 = value2;
    }
    def setField2(value:String) {
        self.field2 = value;
    }
}

これでClassAにはフィールドがfield1とfield2がありメソッドはsetField1とsetField2があるようになります。コンパイルはこの場合はb.clclだけで大丈夫です。同名のメソッドがある場合後ろに定義されたメソッドが優先されます。その時、inherit(...)でひとつ前の定義のメソッドを呼び出すことができます。うまく使うとmixin-layersというレイヤーを重ねるようにコーディングするスタイルでプログラムが書けます。

> vim("c.clcl")
class ClassB
{
    field1:int;
    def initialize(value1:int) { 
        self.field1 = value1;
    }
    def show() {
        self.field1.toString().println();
    }
}
> vim("d.clcl")
include "c.clcl"
class ClassB
{
    field2:String;
    def initialize(value1:int, value2:String) {
        self.field1 = value1;
        self.field2 = value2;
    }
    def show() {
        inherit();
        self.field2.println();
    }
}

d.clclでフィールドが追加されてメソッドが上書きされています。上書きされたshowはメソッドコールのメソッド検索時にd.clclのものが優先されます。showの中でinherit();が呼ばれているため、元のc.clclのshow()が呼び出されてフィールドは両方のものが表示されます。上書されるメソッドに引数がある場合はinheritに引数をつけてください。

組み込みクラスのStringやHashなどにメソッドやフィールドを追加したい場合はClover2のソースファイルに含まれる。MyOwnLibrary.clclをincludeしてください。このMyOwnLibrary.clclにはFundamental.clcl→Reflection.clcl→Tread.clcl→String.clc→Container.clcl→Range.clcl→File.clcl→Command.clcl→SystemCalls.clcl→CLibrary.clcl→CGI.clcl→MyOwnLibrary.clclの順でレイヤーが重ねられているため、これらのソースファイルも必要です。 一つ注意点はこの場合コンパイル時に-coreというオプションが必要になることです。 例えば、StringやHashを機能拡張したソースファイルの名前がMyOwnLibrary2.clclだとすると

> cclover2 -core MyOwnLibrary2.clcl

とコンパイルします。作られたオリジナルのString.oclclなりArray.oclclは$HOME/.clover2にコピーしてください。カレントディレクトリに関係なく、そのStringやArrayを使えるようになります。

Clover2のオープンクラスは単にincudeしたファイルに含まれるクラスももう一度コンパイルすることによって実現されています。なので、メソッドやフィールドを追加することで特に遅くなったりなどの影響は全くありません。inheritもメソッドがコンパイル時には呼び出すメソッドが確定されているので、ただのメソッドコールと同じ実行コストです。安心してmixin-layersスタイルのコーディングを楽しんでください。同名で同引数のメソッドが追加できる秘密は単にそれを許していて、コンパイル時のメソッド検索時にメソッドの配列の末尾から検索をしているので上書きできるだけです。コストは全くかかりません。凄く単純な仕組みで実現しています。

分割コンパイルとmixin-lyers

version 7.5.0より以下が可能になっています。

    > vim a.clcl
    class ClassA {
        field1:int;

        def initialize(value:int) {
            field1 = value;
        }

        def method(a:int, b:int) {
            return a + b + field1;
        }
    }
    > cclover2 a.clcl
    > vim b.clcl
    inherit ClassA {
        field2:int;

        def initialize(value:int, value2:int) {
            field1 = value;
            field2 = value2;
        }

        def method(a:int, b:int) {
            return a + b + field1 + field2;
        }
    }

コンパイル済みのクラスファイルにinherit クラス名でメソッドやフィールドが追加できます。これによってmixin-layersはより厳密となりリファクタリングなどを行って変更を加えた場合、後方のレイヤーのみ気をつければいいようになってます。基礎クラスに機能を追加する場合もinherit Stringとすれば、Stringクラスにフィールドやメソッドが追加できます。Stringクラスさえロードできれば、それが可能です。ただし、コンパイル順に気をつけてください。

分割コンパイルを行うmixin-layersではメソッドを動的に呼びたいことがでてきます。その場合methodの定義時にdynamic指定を行ってください。実行時にメソッドが決まるため、便利です。

    > vim a.clcl
    class ClassA {
        table:SortableList<String>();
        def initialize() {
            callTableInitialize();
        }

        def callTableInitialize(): dynamic {
            table = { "AAA", "BBB", "CCC" };
        }
    }

    > cclover2 a.clcl

    > vim b.clcl
    inherit ClassA {
        def callTableInitialize(): dynaimc {
            table = { "DDD", "EEE", "FFF" }
        }
    }

    > cclover2 b.clcl

この場合ClassAのtableは"DDD", "EEE", "FFF"となります。dynamic指定がない場合"AAA", "BBB", "CCC"となるはずです。

version 8.2.8よりクラスにバージョンがつけられます。

> vim a1.clcl
class ClassA version 1 {
    var a:int;

    def initialize() {
        a = 1;
    }
}

> cclover2 a1.clcl

> vim a2.clcl
class ClassA version 2 {
    var b:int;

    def initialize() {
        inherit();

        b = 2;
    }
}

> cclover2 a2.clcl

versionをつけるとa2.clclを変更した場合a1.clclの再コンパイルは必要ありません。

クラスファイルの登録

クラスファイルの検索パスはカレントディレクトリと$HOME/.clover2となります。どのディレクトリからでもクラスを参照したい場合はoclclファイルを$HOME/.clover2にコピーしてください。あとJITを有効にしている場合はダイナミックライブラリのコピーも必要になります。lib[クラス名].so, lib[クラス名].so.1.0.0を$HOME/.clover2にコピーしてください。無くても動いてしまいますがJITが有効にならずに動いてしまいます。あとはダイナミックライブラリの検索のためにexport LD_LIBRARY_PATH=~/.clover2:$LIBRARY_PATHを.bashrcなどに登録してください。

クラスの循環参照

> vim ClassA.clcl
class ClassA {
    field1: static int;

    def hello(): static {
        ClassB.hello();
    }
}
> vim ClassB.clcl
class ClassB {
    def hello(): static {
        println("ClassA.field1 \{ClassA.field1}\n");
    }
}

このようなコードの場合ClassA.clcl, ClassB.clcl両方のコンパイルが通りませんが以下の様にすれば大丈夫です。

> vim ClassA.clcl
include "ClassB.clcl"

class ClassA {
    field1: static int;

    def hello(): static {
        ClassB.hello();
    }
}
> vim ClassB.clcl
include "ClassA.clcl"

class ClassB {
    def hello(): static {
        println("ClassA.field1 \{ClassA.field1}\n");
    }
}

循環参照しているソース両方でincludeしてください。どちらかのソースをコンパイルするとコンパイルが通ります。

メモリの管理

GCについてですが、Clover2のGCはリファレンスカウントとマークアンドスィープ両方使っています。色々と改良を加えて、version 5.9.9よりかなり高速です。ただし、コンパクションは行わないため、ユーザーが自身で呼ぶ必要があります。普通のスクリプトではその必要はありませんが、エディッタなど、常時起動しているアプリケーションでは、メインループで何回かに一回だけでもClover.compaction()を呼ばないといけません。もし、これをしないとメモリの消費量がどんどん増えていきます。あと、コンパクションを行うとオブジェクトのアドレスが変わるため、headOfMememory()で得たアドレスは無効になります。その点に注意してください。逆にいえば、Clover.compactionを呼ばなければ、オブジェクトの先頭アドレスは変わりません。

version 10.2.5ではマークアンドスィープオンリーとなっています。GCは自動的には呼ばれず、ユーザーがClover.gc()を呼ばなければなりません。Clover.gc()を呼ばなければ、使用メモリはどんどん増えつづけてしまいます。Clover.compactionもユーザーが呼ばないといけません。この時オブジェクトの先頭アドレスは変わります。どちらもメインループで1000回に一回程度呼べば良いと思います。メインループで以下のようにしてください。

` gc_count := 0;

while(true) { # メインループ

if(gc_count % 1024 == 0) {
    Clover.gc();
    Clover.compaction();
}

gc_count++;

} `

Clover.gc()をユーザーが呼ばなければならない理由はパフォーマンスです。オブジェクト生成時にgcを呼び出すと途端にパフォーマンスが落ちます。そのためです。使いきりのスクリプトでは特にClover.gc()を呼び出す必要はないと思います。


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