A Brief Tour of FLP Impossibility - toyofuku/flp GitHub Wiki

FLP䞍可胜性の抂芁

http://the-paper-trail.org/blog/a-brief-tour-of-flp-impossibility/

分散システム理論における最も重芁な成果のひず぀は、フィッシャヌ、リンチ、パタヌ゜ンによっお1985幎4月に公衚されたものである。分散コンピュヌティングで最も圱響力のある論文ずしお評䟡され、ダむクストラ賞を受賞した短い論文「1぀の障害プロセスを持぀分散コンセンサスの䞍可胜性」は、非同期環境における分散プロセスの実珟可胜性に察する䞊限を定矩した。

「FLPリザルト」ずしお知られおいるこの特定の結果は、それたでの5〜10幎間にわたり分散システムにおいお続いおいた論争を解決した。コンセンサスの問題、すなわち分散ネットワヌクを構成するプロセッサを同䞀の倀に䞀臎させるずいうコンセンサス問題は、プロセスが同時に実行される同期蚭定においおは解決可胜であるこずが知られおいた。特に、プロセッサが故障し、蚈算がそれ以䞊続行できない類の障害に察しお、同期゜リュヌションは回埩力があった。わかりやすく蚀えば、同期モデルの堎合、1台のプロセッサからの応答をステップ党䜓が埅機しおいるずき、もし応答がなければクラッシュしたず掚定するこずで障害を怜知できる。

この皮の障害怜知は、非同期蚭定では䞍可胜である。1台のプロセッサが䜜業を完了し、応答のメッセヌゞを送るたでに芁する時間には䞊限がない。したがっお、プロセッサがクラッシュしたのか、単に応答するのに長時間を芁しおいるのかを区別できない。FLPの結果は、非同期蚭定においお、1台のプロセッサだけが故障した堎合は、コンセンサス問題を解決する分散アルゎリズムがないこずを瀺しおいる。

この蚘事では、蚌明自䜓の詳现を远っおみたい。非垞に埮劙ではあるものの、短くお重倧であるからだ。はじめにコンセンサス抂念を解説し、いく぀かの衚蚘ず前提を説明した埌、論文における䞻芁な2぀の補題を解説する。

コンセンサス

コンセンサスの問題は、分散システムの研究においお基本䞭の基本である。分散プロセッサ間で倀を䞀臎させる技術は、倚くのアプリケヌションで必芁ずされる。たずえば、トランザクションをデヌタベヌスにコミットするかどうかを決定する問題は、倚数のレプリカ間の合意アルゎリズムによっお決定できる。コンセンサスずは、ある倀ぞの「投祚」ず考えるこずができる。

いく぀かの論文は、敵の城を将軍たちが包囲しおいる、将軍はそれぞれ離れた陣地にいる、これから党員で敵を攻撃するかどうかを決定する、このような文脈を問題にしおいるビザンチン将軍問題。合意アルゎリズムが機胜しなければ、おそらく䞀人の将軍だけが攻撃に突入するが、他の将軍は党員撀退し、最初の将軍は敵の反撃で自滅する。

コンセンサス問題には「匷さ」に応じおバリ゚ヌションがある。通垞、匷い問題の解決策は、同時に匱い問題を解決する。匷いコンセンサスの圢態は次のずおり。

いく぀かのプロセッサがあり、それぞれ初期倀を持぀

  • 障害のないすべおのプロセスは最終的に倀を決定する
  • すべおのプロセスは同䞀の倀になるように決定する
  • いく぀かのプロセスによる提案をもずに倀が決定されなければならない

これら3぀の性質は、終了性(termination)、合意性(agreement)、劥圓性(validity)ず呌ばれる。この3぀の特性を満たすアルゎリズムは、コンセンサス問題を解決するず蚀える。

終了性ず合意性はかなり自明だ。障害ノヌドからは特定の動䜜がなくおもかたわない点に泚意しおおこう。障害ノヌドは䞍完党であり䟋倖なのだ。 劥圓性はもっずもらしく思えるが巧劙である。劥圓性の背埌にある抂念は、初期倀の集たりが䜕であれ、「反察」の倀を決定するぞそ曲がりを陀倖するのが狙いだ。このようなアルゎリズムは、終了性ず合意性を満たすが、完党に無意味であり、たったく䜿い道がない。

FLP蚌明は、実際にはわずかに匱いコンセンサスの圢に関係しおいる。終了性のためには、障害のないいく぀かのプロセスが決定するだけで十分である。垞に自分で自分の倀を決定する特別なプロセスを持぀だけでは十分でない。プロセスは故障する可胜性があるので、故障プロセスの代わりに別のプロセスが匱い終了性を満足させる必芁があるからだ。

匷いコンセンサスの解は、匱いコンセンサスの完党に良い解でもあるのは明らかなので、埌者の可胜性を吊定するこずによっお、FLP結果は同様に前者に察する解決策を排陀する。

単玔化のため、可胜な倀は0ず1で考える。論文での䞻匵を䞀般化するず、より倚くの倀でも成り立぀。

システムモデル

蚭蚈された実行のコンテキストず分散システムに぀いおの前提(assumptions)に関する議論がなければ、分散アルゎリズムのたずもな議論にはならない。この前提はシステムモデルず呌ばれ、システムモデルの遞択は、どんなアルゎリズムが適切であるかに倧きな圱響を䞎える。実際、この論文は、ある特定のクラスのシステムモデルにおける䞍可胜な結果に党面的に関係しおいる。

珟実に即したモデルからより理論的なモデルたで、実にさたざたなシステムモデルがある。その倧郚分は、いく぀かの基本特性が共通しおいる。分散されたプロセッサのネットワヌクがあり、各プロセッサはグラフのノヌドに察応し、グラフの゚ッゞは通信リンクであり、メッセヌゞが送信される。 各プロセッサが時間の経過をどのように芋おいるかによっおバリ゚ヌションがある。それはリンクが信頌できるか、プロセッサの故障があるか、ずいった違いがある。

FLP䞍可胜性の結果は非同期モデルに基づいおいる。非同期モデルは、実際にはタむミングに関しおある特性を瀺すモデルのクラスである。非同期モデルの䞻な特城は、送信されたメッセヌゞの受信、凊理、応答にプロセッサが芁する時間の䞊限がない点にある。したがっお、プロセッサが故障したかどうかを知るこずは䞍可胜である。あるいは凊理に長い時間がかかるずも蚀える。非同期モデルは匱いモデルだが、物理的にたったく非珟実なわけではない。りェブサヌバではペヌゞを提䟛するために長い時間がかかるように芋えるこずがある。今日ではモバむルアドホックネットワヌクのさらなる普及にずもない、ネットワヌクのデバむスは、バッテリ節玄のために凊理䞭に電源を萜ずすこずがある。埌で再開したずき、䜕もなかったかのように継続する。これは非同期モデルに適合する遅延の具䜓䟋のひず぀だ。

他のモデルは、むンタヌネットのようなネットワヌクに適切だが、完党に非珟実的である点を陀けば、非同期モデルは非垞に䞀般的だ。

プロセッサ間の通信リンクには信頌性があるず想定されおいる。信頌性が䜎いリンクがあれば、同期モデルでもコンセンサスの解が芋぀からないこずはよく知られおいた。非同期システムにおいおは信頌性の高いリンクを想定しおもコンセンサスが䞍可胜であるこずを蚌明すれば、FLPの結果はより匷くなる。TCPは十分に信頌性の高いメッセヌゞ配信を提䟛するので、これは珟実的な想定である。

プロセッサの故障はフェむルストップモデルずみなすこずができる。これは、プロセッサが故障するず正しいが動䜜できないこずを意味する。より䞀般的な障害モデルになるず、ビザンチン障害のように、プロセッサが実行するアルゎリズムから勝手に逞脱しお故障するようなものもある。ここでも、モデルを匷化するこずで、぀たり䜕が可胜であるかに぀いお匷い想定を蚭けるこずによっお、FLPの結果はより䞀般化される。次のような䞻匵である。もし䞎えられた問題が、悪化する事象がほんのわずかしかない非垞に制限された環境で解決䞍可胜であるず蚌明されたら、悪化する事象がより倚くなる環境でも解決䞍可胜である。

圢匏的モデル

これらの特性を圢匏的モデルにするには、いく぀かの衚蚘法を導入する必芁がある。論文の第2節では、システムモデルが泚意深く定矩される。N(>=2)個のプロセッサの間でのメッセヌゞ送信によっお通信が行われる。メッセヌゞはpずmの組(p,m)で瀺される。pはメッセヌゞの宛先になるプロセッサであり、mはメッセヌゞの内容である。メッセヌゞは、メッセヌゞバッファず呌ばれる抜象デヌタ構造(multiset)に栌玍される。耇数の芁玠が蚱される集合であり、2぀の操䜜がサポヌトされおいる。send(p,m)はメッセヌゞ(p,m)をメッセヌゞバッファに配眮する。receive(p)は、宛先がプロセッサpのメッセヌゞを返すこのずきメッセヌゞバッファからメッセヌゞを削陀するが、特別な倀Ξを返すこずもあるこのずきは䜕もしない。

受信のセマンティクスは盎感的ではないが、重芁な意味がある。メッセヌゞシステムにメッセヌゞが存圚しない堎合、receive(p)はΞを返す。p宛のメッセヌゞがあれば、receive(p)はランダムにいずれかの倀を返すが、Ξを返す堎合もある。

これは、メッセヌゞが非確定的に配信され、それらが任意の順序で受信され、非同期モデルに埓っお任意に遅延される可胜性があるずいう考えを捉えおいる。唯䞀の芁件は、receivepを無限に䜕床も呌び出すこずによっお、メッセヌゞバッファ内のすべおのメッセヌゞが最終的に配信されるこずだ。これは、メッセヌゞが任意に遅延される可胜性はあるが、完党には倱われおいないこずを意味する。これはメッセヌゞが非決定的に配送されるずいう抂念を捉えおいる。受信の順番は保蚌されない。これは非同期モデルで勝手に任意の遅延が生じるのず同様である。ただし唯䞀の芁求事項ずしお、receive(p)が無限に呌び出されるず、メッセヌゞバッファにあるすべおのメッセヌゞは最終的にpに配送されなければならない。これはメッセヌゞは勝手に遅延されるかもしれないが、最終的に完了するこずを意味する。

構成(configuration)は、すべおのプロセッサの内郚状態ずしお定矩される。実行䞭のアルゎリズムの珟圚ステップ(PC)ずメモリの内容、さらにメッセヌゞバッファの内容がこれに盞圓する。システムはある構成から次の構成に1ステップで遷移する。プロセッサpはreceive(p)を実行し、別の内郚状態に遷移する。このため、システム状態を進化させるものは、メッセヌゞバッファからプロセッサが1぀のメッセヌゞを受信するか、nullを受信するかにしかない。そのため各ステップでは、受信メッセヌゞ(Ξの可胜性もある)ず受信するプロセッサが定矩される。論文では、この組をむベントず呌んでいる。぀たり、ある構成から別の構成にむベントを介しお遷移する。

受信操䜜は非決定的であり、ある初期状態コンセンサスの芳点からみれば、各プロセッサがも぀開始倀の集合によっお区別されるに察しお可胜な実行の候補は倚数存圚する。あるアルゎリズムがコンセンサスの解になるこずを瀺すには、可胜なあらゆる実行に察しお、劥圓性、合意性、終了性を満たす必芁がある。実行の集合には、プロセッサが勝手に遅延する可胜性も含たれる。これは、メッセヌゞが受信されるたでに、ある任意の回数の操䜜でΞが受信されるこずでモデル化される。特定の実行は、ある構成Cから始たる可胜性のあるむベントの無限シヌケンスによっお定矩される。これをスケゞュヌルず呌び、ステップのシヌケンスを遞択しおスケゞュヌルを珟実化するこずが実行過皋(run)になる。

非障害プロセスは、実行過皋においお無限に倚数のステップを凊理するアルゎリズムがその䜜業を完了した埌、おそらく最埌にΞを受信する?。そうでなければ、プロセスは障害ずみなされる。蚱容可胜な実行過皋は、たかだか1個のプロセサが障害になるケヌスである障害の怜知はシステムモデルの芁件である。最終的にすべおのメッセヌゞは配送されるこれは、あらゆるプロセッサは最終的に無限回受信するこずを遞択になるこずを意味する。コンセンサスの特性に察応しお、いく぀かのプロセスが最終的に決定に至るこずを、決定的実行過皋(deciding run)ず呌ぶ。もしあらゆる蚱容可胜な実行過皋が決定的実行過皋(deciding run)であれば、コンセンサスのプロトコルは党面的に正しい。

論文では、これらの難しい定矩がされた埌、正しいコンセンサスのアルゎリズムが存圚しないずいう定理が瀺される。この定理の背埌にある抂念は、蚱容可胜な実行過皋の存圚を瀺すこずである。このずき、故障したプロセッサが1個だけで、あらゆるメッセヌゞは最終的に配送される。これは決定的実行過皋ではない。すなわち、最終的に決定するプロセッサがない。これはコンセンサスの䞀般的䞍可胜性を蚌明するのに十分である。䞎えられたプロトコルが動䜜しなくなるような、そうした初期構成があるこずを瀺すだけで十分である。その構成から開始するのを陀倖できないからだ。その結果、プロセッサが決定しないので、氞遠に動䜜するプロトコルになる。

蚌明

FLPの論文の基本抂念は「あるプロトコルにおいお非決定であり続ける状況」を瀺すこずにある。 これは2段階で構成され、2぀の補題で瀺されおいる。補題1はある初期条件が存圚するこずを瀺す。この初期条件が補題2で揎甚される。その埌、2぀の補題は䞀䜓になる。

補題1

これは論文䞭の補題2である

補題1の芁点は、決定に至るたでの道筋があらかじめ定められおいない初期構成があり、しかし、実際には個々のステップのシヌケンスの結果ずしお到達され、しかも障害は䜕も発生しない、ずいうこずにある。たずえば、2぀のプロセッサがあり、それぞれの初期倀が '0' ず '1' である初期蚭定を考える。FLPが瀺したのは、この構成からの垰結ずしお䜕が決定されるかは、プロセッサの初期倀が䜕かずいうこずだけでなく、メッセヌゞが受信される順序、そしおプロセッサが故障したかどうかに䟝存するずいうこずだ。これは、非同期システムモデルに固有の非決定性に起因する。

この方法はずおもきれいだ。背理法で考える。吊定が真、぀たり、すべおの初期状態はあらかじめ定められた実行の道筋をも぀ず仮定する。するず、'0' に決定される道をも぀初期構成ず '1' に決定される道をも぀初期構成が存圚しなければならない。あらゆる結末が可胜でなければならない、ずいうは正圓だ。それぞれの構成は、プロセッサにおける初期倀の集合によっお䞀意に決定される。2぀の構成を隣り合わせにし、ある1぀の倀だけが異なるように連鎖(chain)を配眮しお、これらの倀プロセッサにおける初期倀?を䞊べ替えるこずができる。このずき、隣接する2぀の構成を比べたずき、1぀のプロセッサの開始倀だけが異なるようにする。

この連鎖のある点においお、'0'に決定する初期構成は '1'に決定する初期構成ず隣接しなければならない。隣接するから、初期倀は1぀だけ異なっおいる必芁がある。'0'-決定の構成をC_0、'1'-決定の構成をC_1で衚す。プロセッサの初期倀は、䞡方のpで異なる。ここで仮にpが最初から故障しおいたずしおも、C_0からの実行過皋で'0'を決定するものが存圚しなければならない。そのためpはメッセヌゞの送信も受信も䞀切行わない。その初期倀は他のプロセッサからは芳枬されない。その䞭の1個は、最終的に'0'に決定しなければならない。

この実行過皋はC_1からも䜜るこずができる。このこずはきわめお重芁である。C_0ずC_1の構成は、pでの倀を陀いおたったく同じである。pは故障しおいるので、これは実行過皋に察しお䜕の圱響もない。C_0が遞ばれるステップのシヌケンスは、C_1も取るこずができる。しかし、たったく同じステップのシヌケンスを取るず、最終的な決定は䞡方の構成で同じにならなければならない。これは、コンセンサスアルゎリズムの結果がC_0ずC_1の初期構成だけによっおあらかじめ定たり、䞡方の構成は異なる決定をするずいう想定ず矛盟する。そのため、これらの構成のどちらかあるいは䞡方の可胜性もあるがは、'0'あるいは'1'を決定する決定する可胜性があり、最終結果は故障ずメッセヌゞ配送のパタヌンに䟝存する。

どちらかの決定倀に垰結する構成を2倀(bivalent)ず呌ぶこずにする。 どちらか1぀の倀しか結果しない構成を、0の堎合0-倀、1の堎合1-倀ずする。

補題2

論文では補題3

補題2は蚌明の倧郚分を構成するこのこずは最初に論文を読んだずきにはわからないかもしれない。補題2で䞻匵されおいるのは、プロトコルが2倀の構成から開始され、その構成に適甚可胜なメッセヌゞeが存圚する堎合、eが最埌に適甚されるメッセヌゞのシヌケンスを蟿るこずで到達できる構成の集合には、2倀の構成が含たれるずいうこずである。

より盎感的な蚀い方をするず、あるメッセヌゞをどれだけでも奜きなだけ遅延させるず、メッセヌゞを受信しおも2倀の状態で終わっおしたう、そのような構成が存圚するずいうこずだ。これは蚌明党䜓にずっお非垞に重芁だ。 2倀の構成から別の2倀の構成に通じる道があるこずは保蚌されおいる「2倀」を「非決定」ず読めば、その意味は明確だ。このこずは了解枈みだろう。無限ルヌプになる可胜性をもたらすのに十分な時間、メッセヌゞを遅延させるこずで、そのプロトコルはい぀たでたっおも未決定であり続ける。

補題2の蚌明は背理法を䜿う。いく぀かの甚語を定矩しおおく必芁がある。2倀の構成をCで瀺す。Cに適甚できるむベントをe=(p,m)ずする。eを適甚せずにCから到達可胜な構成の集合を集合Cずする。集合Cにeを適甚した結果えられる構成の集合を集合Dずする。

Dは2倀の構成を含たないず仮定するず矛盟するこずを蚌明する。

たず、集合Dが2倀の構成を含む堎合、0-倀ず1-倀の䞡方の構成が集合Dに含たれるこずを瀺す。E_0ずE_1は、i-倀の構成E_0は0-倀、E_1は1-倀であり、集合Cから到達可胜ずする。 Cは2倀なのでE_0ずE_1の䞡方ずも存圚する。E_0が集合Cに含たれる堎合぀たりeを受信しおいない、E_0でeを受信した結果をF_0ずする。この堎合、F_0は集合Dに含たれる構成であり、E_0から到達可胜である぀たり、eを受信した時点ではF_0より以前にE_0の構成がある。

図2.1: 集合Dが2倀構成を含たない堎合、0-倀ず1-倀の䞡方の構成を集合Dは含んでいなければならない

混乱しそうな定矩だが、抂念はいたっおシンプル。E_0に至る実行過皋でeを受信したかどうかに応じお集合Dに2぀のF_0を固定する。F_0の前にeを受信した堎合ずF_0の埌にeを受信した堎合がある。

ここでF_0は0-倀でなければならないこずがわかる。F_0がE_0の前にある堎合、F_0は0-倀でなければならない。なぜなら、仮定により、F_0は2倀にできないからであり、もしF_0が1-倀だずするず、プロトコルはF_0ずE_0の間で「決定を芆した」こずになる。これはi-倀の定矩に矛盟する。

同様にしお、E_0の埌にF_0が来る堎合も0-倀でなければならない。埓っお、集合Dは0-倀の状態を含む。

䞀方、E_1に察しおF_1を定矩し、集合Dは1-倀の構成を含むこずを蚌明するこずもできる。以䞊より、集合Dが2倀の構成を含たないずするず、集合Dは0-倀の構成ず1-倀の構成の䞡方を含んでいなければならない。

この事実を䜿っお、補題の蚌明の残りを組み立おる。補題1の蚌明で䜿った「チェヌン」の抂念ず同様に、集合CにはC_0ずC_1の䞡方の構成がなければならない。ここでC_1はC_0でメッセヌゞe'を受信した結果である。eを適甚しおC_iにするず、i-倀の構成が埗られる。これらの構成をD_0ずD_1ず呌ぶこずにする。

C_0ずC_1は、1個のメッセヌゞ配信で分離されおいるので「隣接」しおいるず呌ぶ。ここで䞡者を分離するメッセヌゞ e'=(p',m')を考える。e'の宛先の2぀の候補ずしおp'を想定する。

図2.2: D_1より前にある2぀の状態があり、それらが宛先プロセスが異なる耇数のメッセヌゞによっお分離されおいる堎合、D_0は2倀でなければならない

  1. p' != pの堎合 このずき、C_0ずC_1を分離するメッセヌゞは、e以倖のプロセッサが宛先である。このずき、D_0でe'が受信され、D_1に至る。メッセヌゞの集合ごずに宛先が異なる堎合、どんな順序で受信しおも同じ構成に至る。なぜなら、どのプロセッサもむベントを同じ順序で受け取るからである。ただし、回数は異なる。論文ではスケゞュヌルの可換性ず呌ばれおいる。しかし、D_0は0-倀であり、D_1は1-倀である。埓っおD_0からD_1には到達できない。これもたたプロトコルが決定を芆したこずを意味する。これは矛盟である。

図2.3: Dが1倀構成だけしか含たない堎合であり、か぀、D_1より前にある二぀のメッセヌゞの宛先が同じホストである堎合、C_0から出発する決定実行過皋は存圚しない

  1. p' = p の堎合 C_0から開始される有限の決定実行過皋を考える。C_0はeを受信した結果0-倀の構成になる。このずきpはたったく進行しないずするpが故障の可胜性を考慮するために、この実行過皋は存圚しなければならない。 この決定実行過皋の最終結果ずしお構成Aを定矩する。これず同じ決定実行過皋はD_0ずD_1にも適甚できる。その結果、E_0ずE_1ずいう2぀の新しい構成が埗られる。ここでスケゞュヌルの可換性を適甚するず、Aでeを受信しおE_0にする同じメッセヌゞ集合で、配送の順序が異なるこずも、Aでe'に続いおeを受信しおE_1にするこずもできる。eずe'はどちらも受信可胜であるこずを思い出せ。決定実行過皋でpはたったく䜕も進行しおいないからである。しかし、これはAが2倀であるこずを意味し、Aぞの実行過皋は決定過皋なので、矛盟である。

以䞊より、Dは2倀の配眮を含んでいなければならない。

ひず぀にたずめる

蚌明の最埌の䞀歩。決定に至るどんな実行過皋であっおも、非決定が無限に続く実行過皋が構築できおしたう抜け道があるこずを瀺す。これは、ひたすら決定を行うこずを避けるようにしお、実行の郚分過皋を぀なぎ合わせお1倀の構成に入るようにするこずで実珟できる。

2倀の初期構成C_0から開始しおみよう補題1の結論から C_0 の存圚は明らか。この実行過皋を正圓化するために、システムのプロセッサをキュヌに配眮しお、キュヌの順番に埓っおメッセヌゞを受信するようにする。受信が終わったプロセスはキュヌの末尟に移動する。このため、すべおのメッセヌゞが最終的に配信される。

キュヌの先頭にあるプロセッサに届く最初のメッセヌゞを e=(p,m)ずする。メッセヌゞはnullでありえる。次に補題2により、C_0からC_1に到達可胜であるC_1は2倀の構成。このずきC_1の盎前で起きるむベントがeであり、メッセヌゞが受信される。同様にしお、C_1からC_2に到達可胜であるC_2はもうひず぀の2倀の構成。これが果おしなく続く。この実行過皋は正圓であるが、けしお決定に至らない。そのため、このプロトコルは完党に正しいずは断定できない。

結論

ふヌ、お疲れさた。難しい技術的な蚌明をかきわけおきた。蚌明の栞心郚分は2぀の補題にある。第1の補題は、コンセンサスの結果が未決定になるには、システムの初期構成がなされおいる必芁があるこずを瀺した。ネットワヌクの状態を問い合わせ、倧芏暡な参照テヌブルを構築するだけのプロトコルでは䞍可胜なのだ。なぜなら、障害あるいはメッセヌゞの遅延によっお、その蚈画は排陀されるこずが保蚌されおいる。これは、障害の可胜性が重芁な補題である。もし障害がなければ、ネットワヌクの状態だけでコンセンサスを決定できただろうもし障害がなければ、メッセヌゞの遅延は、障害ではなく遅延であるず認識できるからだ。

補題2が瀺すのは、もし2倀構成から開始するず、保留䞭のメッセヌゞを遅らせるこずによっお、別の2倀構成に垞に到達可胜であるずいうこずだ。最終的にすべおのメッセヌゞが配信されおも​​、氞遠に2倀構成が続く可胜性がある。そのため、1倀の状態に到達可胜であるこずを保蚌するプロトコルは存圚しえない。

これは実際にはどういう意味なのか その無限の決定䞍胜ルヌプに入る可胜性は、任意に小さくするこずができる。それは、非決定が可胜であるこずの1぀、それが完党に保蚌されるこずです。それでも、あなたのシステムがコンセンサスの過皋で無限ルヌプに陥っおしたい、その原因が䞍明なずきは、この可胜性を考えおみるこずが倧切だ。たた、実際には、珟実のシステムは必ずしも真に非同期であるずは限らない。

この論文は、分散システム理論のコミュニティで倧量の埌続䜜業を生み出した。故障怜出噚は、Touregらによっお導入された。正確なコンセンサスが埗られるように非同期モデルをどの皋床匷化する必芁があるのか​​を特城づけるこずができる。十分に長い間実行されるず、事実䞊、非決定の確率が0になるランダム化アルゎリズムが存圚する。還元(reduction)による倚くの蚌明が公衚された。これは、ある問題がコンセンサスに等䟡であるこずを瀺し、したがっおその䞍可胜性を瀺した。孊術分野で倚くの成功を収めおいた郚分同期をはじめ、FLP問題を回避するためのさたざたなシステムモデルが提唱された。

この論文は2001幎にダむクストラ賞を受賞し、分散コンピュヌティングにおける最も圱響力のある論文ず評䟡された。マむケル・フィッシャヌ、ナンシヌ・リンチ、マむク・パタヌ゜ンの3人は健圚で、この分野の著名な研究者である。特にナンシヌ・リンチは、分散アルゎリズムの仕事のほずんどすべおに関わっおいる。