色彩調和論 - ntuf/Tips GitHub Wiki

配色が見る人に好感を与えるとき、それらの色は調和しているといいます。
色彩調和という言葉は Color Harmony の訳語であり、日本で使われるようになったのは明治以降からです。古代ギリシャ哲学では「美は変化の中に統一を表現することである。」といわれ、西欧美学の古典的命題の一つとされてきました。
ルネサンス期にはレオナルド・ダ・ヴィンチやA・デューラーによる色彩調和についての記述があり、レオナルドは「絵画論」の中で「白、 黄、緑、青、赤、黒を6つの単色として、白と黒、赤と緑、黄と青がお互いをひきたてる。」と述べています。ニュートンによるスペクトルの発見(1666年) 以降、色彩が科学的にとらえられるようになり、色彩調和に関する論議も盛んになりました。本格的な研究が始まったのは19世紀後半からで、以下に色彩調和論の代表的なものを紹介します。
 
シュブルールの調和論
(M.E.Chevreul;1786-1889:フランスの化学者)
シュブルールはゴブラン織りの製作所での染色や織物の研究の中から色彩調和に関するいくつかの法則を発見し「色と調和に関する法則」を著しました。現代の色彩調和論のはじまりとされているもので、彼の調和論を要約すると2種 類、6通りの組み合わせに分類でき、これにより、様々な色の組み合わせの中から調和する配色を類推することができるようになりました。
 
ルードの色彩調和論
(O.N.Rood;1831-1902:アメリカの自然科学者)
1879年に「モダンクロマティックス(現代色彩学)」を著し、自然の中での色彩の見え方に基づいた配色関係、つまり隣接する色相関係の配色では、色相が黄に近い色を明るく、黄から遠い色を暗くした配色は人間が最もなじんでいる配色であり調和すると述べています。
 
オストワルトの調和論
(Wilhelm ostwalt;1853~1932:ドイツの科学者、オストワルトシステムの創案者)
1918年に『色彩の調和』として発表した調和論。「調和は秩序に等しい」といい、調和のためにはなんらかの共通項を持たなければならないとして、自ら考案した色彩体系(オストワルトシステム)の中で規則的な位置関係にある配色は調和するとしています。
 
ムーン&スペンサーの調和論
(P.Moon,D.E.Spencer:アメリカの色彩学者)
先人の調和論を研究し、そこから普遍的な原理としてまとめたもので、原文は3部構成の論文でアメリカ光学会から1944年に発表されました。マンセルシステム上での調和の範囲を示し、配色の良否を計算によって求めるなどの提案により注目されました。
 第1報「古典的色彩調和の幾何学的形式」:マンセル体系上での調和範囲を示した
 第2報「色彩調和における面積」:つりあいのとれた面積比を選ぶ計算法を提案
 第3報「色彩調和に適用される美的尺度」:配色の美度を算出する方程式を提案
 
色彩調和の一般原理
アメリカの色彩学者、D.B.ジャッド(D.B.Judd;1900-1972) は、さまざまな色彩調和論の中で述べられている調和の原理を次の4つに要約しました。
 1)秩序の原理:規則的に選ばれた色同士は調和する
 2)なじみの原理:いつも見慣れている色の配列は調和している
 3)類似性の原理(共通性の原理):色の感じに何らかの共通性がある色同士は調和する
 4)明瞭性の原理:明度や色相などの差が大きくて明瞭な配色は調和しやすい

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