地上子仕様 - magicant/bve-autopilot GitHub Wiki
bve-autopilot 地上子仕様
以下の説明の「地上子種別番号 (type)」「対応する閉塞 (section)」「プラグインに送る値 (send data)」はマップファイルの Beacon.Put(...)
文の括弧内に書く数字を順に表しています。
TASC 関係
停止位置設定
次の駅で停車する位置をプラグインに伝えます。
停止位置設定地上子は相対式と絶対式の二種類があります。どちらでもお好きな方を使用してください。ただし、一つの停止位置に対して相対式と絶対式の両方を使うと誤作動の原因になるので、どちらか片方に統一してください。
相対式の停止位置設定地上子は、地上子から停止位置までの距離を指定します。仕様は以下の通りです。
- 地上子種別番号 (type):
- 1030 (v0.9 以降)
- 30 (v0.8 以前)
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 地上子から停止位置までの距離 (0~9999 メートル) に 1000 を掛けたものを指定します。例えば距離が 450 メートルなら 450000 となります。
- v1.3 以降は、ミリメートル単位で距離を指定できます。例えば 12.5 メートルなら 12500 となります。
- v1.2 以前は、メートル単位での指定となります。(値の下三桁は無視されます)
- 設置位置:
- 少なくとも駅に停車するためにブレーキをかけ始める地点より手前に一つ設置する必要があります。例えば速度 100 km/h から減速度 3 km/h/s で減速する場合は 500 メートル手前に必要です。なお ATO 使用時は、それよりもさらに数百メートル手前に設置することでブレーキをかけ始める直前の無駄な力行を防止できます。
- 高速度で地上子を通過すると距離の誤差が出やすくなるので、停止位置に近付いて速度が下がってきたところで再度地上子を通過させて位置情報を更新するとベターです。停止位置の 10 メートル程度手前にも一つ設置するのがおすすめです。
- この地上子は一駅づつ設置する必要があります。前の停車駅を出発した後に次の停車駅の停止位置設定地上子が来るようにしてください。
- マップファイルの
Station[...].Put(...)
文で指定している停止位置誤差の許容範囲の中には地上子を設置しないでください。さもないと、もし地上子の手前で許容範囲内に停車した場合、駅出発後に地上子から停止位置情報が来るので次の駅の停止位置を誤認してしまいます。 - 通過駅に対しては地上子を設置してはいけません。
- 使用可能なバージョン: v0.1 以降
- v0.9 から地上子の種別番号が変わりました。以前の種別番号 30 を使用したい場合は、互換モード設定地上子で汎用 ATS プラグイン互換モードを設定してください。
絶対式の停止位置設定地上子では、停止位置の座標を直接設定します。仕様は以下の通りで、δ ナックニスタさんが作成した汎用 TASC プラグインの上位互換です。
- 地上子種別番号 (type): 255
- 対応する閉塞 (section): 0 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 停止位置 (路線データ内の距離程) をメートル単位で指定します。
- 設置位置:
- 停止位置に対してブレーキをかけ始める地点よりは手前に設置する必要があります。
- 一つの地上子で一つの停車駅の停止位置を指定できます。停車駅が複数ある場合はそれぞれ地上子を設置してください。
- 絶対式の停止位置設定地上子で設定した停止位置は全て記憶されるので、一駅ごとに一つづつ設置してもよいですし、路線のスタート地点等に全部まとめて設置しても構いません。
- 通過駅に対しては地上子を設置してはいけません。
- 使用可能なバージョン: v1.1 以降
- 汎用 TASC プラグインでは 0 メートル地点に全ての地上子を設置し、また最後の停車駅に対する地上子を設置した後に値が 0 の地上子を設置することになっていますが、bve-autopilot ではこの制約はありません。
許容誤差設定
駅に停車する際の最大許容誤差を設定します。
- 地上子種別番号 (type): 1031
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 停止目標位置の手前に停車することに対して認められる最大誤差 (センチメートル単位)
- 設定する最大許容誤差はマップファイルの
Station[...].Put(...)
文で設定される後方許容範囲を超えないようにすべきです。
- 設定する最大許容誤差はマップファイルの
- 設置位置: 最大許容誤差を設定したい地点
- 全ての停車駅で最大許容誤差が同じ場合は、0 メートル地点に一度だけ設置すれば十分です。
- 最大許容誤差が駅によって異なる場合は、最大許容誤差が変化する駅と駅の間に設置してください。
- 列車が停止する直前に地上子を通過してもブレーキ調整が間に合わないので、停止許容範囲よりは手前に設置してください。
- 使用可能なバージョン: v0.9 以降
この地上子がない場合のデフォルトの最大許容誤差は 50 センチメートルです。
目標停止位置よりも手前に止まりそうになってしまった場合に、それが許容誤差内であればプラグインはそこに列車を止めようとします。時間をかけてでも正確な位置に止めたい場合は最大許容誤差を小さく設定してください。ただし路線の特性や車両の性能によっては許容誤差内に停車できない場合があります。
この地上子では停止目標位置を行き過ぎること (オーバーラン) に対する最大許容誤差は設定されません。プラグインは常にオーバーランしないように運転しています。
全体制御関係
目標減速度設定
減速時 (駅停車時のほか、制限速度区間や信号の手前で減速するときなど) に目標とする減速度の目安を設定します。
- 地上子種別番号 (type): 1002
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 減速度を 0.1 km/h/s 単位で指定します。例えば減速度を 2.5 km/h/s に設定するには値として 25 を指定します。
- 設置位置: 減速度を設定したい地点
- 全ての場所で減速度が一定の場合は 0 メートル地点に一度だけ設置すれば十分です。
- 場所によって減速度が異なる場合は減速度が変化する地点ごとに設置する必要があります。ただし、ブレーキをかけ始める地点より手前に設置しないと減速度の変化の反映が間に合いません。
- 使用可能なバージョン: v0.9 以降
この地上子で設定する減速度はあくまでも目標とする減速度の目安であり、路線の特性や車両性能により実際の減速度は変化します。
設定ファイルに設定した最大減速度の 95% を超える減速度を設定しても、目標減速度はそれより高くなりません。地上子が設置されていない場合のデフォルトの目標減速度は、設定ファイルに設定した最大減速度の 80% です。
自動発進設定
駅を出発する際、扉が閉まったら自動的に発進するように設定します。また、扉が閉まってから自動的に発進するまでの待ち時間を設定します。
- 地上子種別番号 (type): 1003
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data):
- 扉が閉まってから自動的に発進するまでの待ち時間を 0.1 秒単位で指定します。例えば、待ち時間を 1.5 秒に設定するには値として 15 を指定します。0 を指定すると待ち時間なしですぐに発進します。
- 負の値を指定すると自動発進は無効になります。
- 設置位置: 自動発進を設定したい地点
- 全ての駅で同様に自動発進を行う場合は 0 メートル地点に一度だけ設置すれば十分です。
- 駅によって自動発進の有無や待ち時間を変えたい場合は、その駅の停止位置の手前にそれぞれ設置します。
- 使用可能なバージョン: v1.1 以降
この地上子が設置されていない場合、自動発進は行いません。(手動で発進ボタンを押して発進してください)
自動発進は ATO が有効になっているときのみ動作します。また、レバーサーが前進に切り替わっていなかったり手動でブレーキをかけていたりするときは発進できません。
自動発進が有効になっている場合、車両が停止信号で停止した後に信号が変わった時にも自動で発進します。ただし、ATC 以外の信号システムを使用している路線ではこのような場合に自動発進が正常に動作しないことがあります。
線形関係
制限速度設定
制限速度をプラグインに伝えます。
- 地上子種別番号 (type): 1006, 1007
- 二つの種別番号の地上子でそれぞれ異なる制限速度を設定できます。片方の種別番号で設定した制限速度はもう片方の種別番号で設定した制限速度に影響しません。列車はより低い方の制限速度に従って走行します。典型的な使い分けとしては、1006 で曲線や分岐器に伴う一時的な制限速度を設定し、1007 で路線全体の最高速度を設定します。
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): d × 1000 + s ただし
- d は地上子から制限速度が変化する地点までの距離 (0~9999 メートル)
- s は制限速度 (1~999 km/h) または 0 (制限速度を解除する場合)
- 例えば、350 メートル先に 75 km/h の制限がある場合は 350075 となります。
- 設置位置: 路線データの 0 メートル地点および制限速度が変わる地点。
- 制限速度が路線の途中で低くなる場合は、新しい速度に備えてブレーキをかけ始める地点より手前に設置し、 d にそこまでの距離を指定します。
- 制限速度が高くなる場合は、その地点に d = 0 で設置します。
- 駅構内に制限速度が課せられている場合は、「停車場へ移動」や「シナリオをやり直す」で移動した直後に制限速度を正しく反映するために、駅の停止位置に d = 0 で地上子を置くことを奨めます。
- 複数の地上子を連続して設置する場合は設置順序に気を付けてください。
- 使用可能なバージョン: v0.2 以降
勾配設定
勾配の強さをプラグインに伝えます。 停止位置や制限速度区間が下り勾配の途中や直後にある場合はこの地上子で勾配を設定しないとブレーキが間に合わない可能性があります。
- 地上子種別番号 (type): 1008
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): d × 1000 + s ただし
- d は地上子から勾配が変化する地点までの距離 (0~9999 メートル)
- s は勾配の傾き (0~999 ‰)
- 下り勾配の場合はプラグインに送る値全体を負数にします。例えば 230 メートル先から 12‰ の下り勾配が始まる場合は -230012 となります。
- 設置位置: 勾配が変化する地点。特に、縦曲線の始点と終点の中間点。
- ブレーキをかけ始めるべき地点の直後に下り勾配が始まる (または勾配が強くなる) 場合は、勾配が変化する地点に設置してもブレーキが間に合わないことがあります。その場合は地上子をより手前に設置し、 d にそこまでの距離を指定してください。
- 複数の地上子を連続して設置する場合は設置順序に気を付けてください。
- 使用可能なバージョン: v0.4 以降
線形関係地上子の設置順序
v1.2 以降: 制限速度設定地上子や勾配設定地上子は基本的に自由な順序で設置できます。同じ地点に対して複数個の地上子を設置して構いません。ただし、同じ地点に対して複数の地上子が設定している値 (制限速度・勾配) が一致していない場合、正常に動作しません。
v1.1 以前: 制限速度設定地上子や勾配設定地上子を連続して設置する場合は、手前にある制限速度や勾配から順に設置してください。 逆の順序で設置すると、遠くにある制限速度や勾配のデータが上書きされてうまく動作しません。
// 正しい順序
Beacon.Put(1006, -1, 100090); // 100 メートル先の制限速度
Beacon.Put(1006, -1, 200080); // 200 メートル先の制限速度
Beacon.Put(1006, -1, 300000); // 300 メートル先の制限速度
// 間違った順序
Beacon.Put(1006, -1, 300000); // 300 メートル先の制限速度
Beacon.Put(1006, -1, 200080); // 200 メートル先の制限速度
Beacon.Put(1006, -1, 100090); // 100 メートル先の制限速度
ただし種別番号の異なる地上子同士の順序は自由です。
// OK
Beacon.Put(1006, -1, 300000); // 300 メートル先の制限速度
Beacon.Put(1007, -1, 200080); // 200 メートル先の制限速度
Beacon.Put(1008, -1, 100010); // 100 メートル先の勾配
信号関係
信号速度設定
信号インデックスに対応する制限速度をプラグインに設定します。
- 地上子種別番号 (type): 1011
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): i × 1000 + s ただし
- i は信号インデックス (0~255)
- s は速度 (0~999 km/h)
- 例えば信号インデックス 4 の制限速度が 95 km/h の場合は 4095 となります。
- 設置位置: 0 メートル地点
- 一つの地上子で一つの信号インデックスの制限速度を設定できます。複数の信号インデックスの制限速度を設定するには信号インデックスごとにそれぞれ地上子を置いてください。
- 使用可能なバージョン: v0.5 以降
なお、この地上子を使用しなくても各信号インデックスに対応するデフォルトの制限速度がプラグイン起動時に読み込まれます。
信号現示受信
次の信号の現示を受信します。
- 地上子種別番号 (type): 1012
- 対応する閉塞 (section): 対象となる閉塞の相対位置
- 通常は 1 (次の閉塞) を指定します。
- 現在走行中の閉塞に対して「閉塞に対する信号インデックス設定」を行いたい場合は 0 を指定します。
- 閉塞が短くてブレーキが間に合わない場合は、2 (二つ先の閉塞) やそれ以上を指定することで早めに信号現示を伝えることもできます。ただし、遠すぎる閉塞を指定すると自車ではなく先行列車に対する現示を受信してしまって誤動作します。
- プラグインに送る値 (send data): 0 または下記「閉塞に対する信号インデックス設定」の値
- 設置位置: 閉塞より手前の任意の位置
- 標準的には、少なくとも新しい閉塞に入った直後 (
Section.Begin(...);
文の直後) に一つ置きます。 - 「閉塞に対する信号インデックス設定」を使用しない場合で、次の閉塞に到達するまでに信号の現示が変わる場合には、現示が変わった後に地上子を通過することによって情報が更新されるように、閉塞の途中にも設置してください。(数十メートル置きに複数設置する)
- 標準的には、少なくとも新しい閉塞に入った直後 (
- 使用可能なバージョン: v0.5 以降
閉塞の長さが 4 メートル以下の場合は、プラグインが隣り合う別々の閉塞を一つの閉塞と見做して誤動作することがあります。
閉塞に対する信号インデックス設定
Section.Begin(...)
文で閉塞に対して設定した先行列車位置と信号インデックスの対応を信号現示受信地上子の値にも設定することで、プラグイン側で現在の閉塞の信号インデックスを元に次の閉塞の信号インデックスを推定できるようになります。これにより、現在の閉塞の信号インデックスが変化した場合に直ちに次の閉塞の信号インデックス変化を検出しブレーキ動作に反映することができます。ただし、先行列車の位置と信号インデックスの組み合わせによっては次の閉塞の信号インデックスを必ずしも一意に特定できないため、完全な結果が得られない場合があります。
この機能を使用する場合は、信号現示受信地上子のプラグインに送る値として、対応する閉塞の Section.Begin(...)
文に記載した信号インデックスを逆順で一桁づつ繋げて記載します。(最大で九桁まで指定できます。二桁以上の信号インデックスは使用できません。)
例えば閉塞が Section.Begin(0, 1, 2, 4)
で始まる場合は、0, 1, 2, 4 を逆順に繋げた 4210 を地上子の値に指定します。
100;
Section.Begin(0, 1, 2, 3, 4); // 最初の閉塞の始まり
110;
Beacon.Put(1012, 1, 4320); // 次の閉塞に対する地上子
400;
Section.Begin(0, 2, 3, 4); // 次の閉塞の始まり
410;
Beacon.Put(1012, 1, 42210); // 三つ目の閉塞に対する地上子
600;
Beacon.Put(1012, 1, 0); // 同じ閉塞に対する二個目以降の地上子では値は不要
800;
Section.Begin(0, 1, 2, 2, 4); // 三つ目の閉塞の始まり
停止信号前速度設定
停止信号の手前に速度照査がある場合に、その位置と速度をプラグインに伝えます。
- 地上子種別番号 (type): 1016
- 対応する閉塞 (section): 対象となる閉塞の相対位置 (通常は 1)
- プラグインに送る値 (send data): d × 1000 + s ただし
- d は地上子から速度照査地点までの距離 (0~9999 メートル)
- s は制限速度 (0~999 km/h)
- s が 0 ならば列車は d で指定した位置で停止します。
- 設置位置: 照査に備えてブレーキをかけ始める地点より手前。
- 使用可能なバージョン: v0.6 以降
この地上子によって速度照査の位置と速度をプラグインに伝えると、その位置を通過する際にその速度以下になるように速度を制御します。
この地上子は、対応する閉塞に対する信号の現示が停止 (速度が 0 km/h) の時にだけ働きます。 それ以外の時はこの地上子は無視されます。 また信号の現示が停止以外に変わったことをプラグインが認識した場合もこの地上子の効果はなくなり、列車は再び加速します。
ダイヤ関係
目標時刻設定 (早着防止)
予定時刻より早く着き過ぎないようにするために、自動的に加速を抑制して速度を調節します。
この機能では二つの地上子を組み合わせて使用します。一つ目の地上子では、目標地点の到達時刻を設定します。
- 地上子種別番号 (type): 1028
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 目標地点に列車が到達すべき目標時刻を、正子 (午前 0 時) からの秒数で指定します。例えば午前 9 時 12 分 34 秒は 33154 (= 9 × 60 × 60 + 12 × 60 + 34) となります。
- 設置位置: 速度の調節を開始したい地点。(加速をやめるべき地点より手前)
- 使用可能なバージョン: v1.0 以降
一つ目の地上子の直後に二つ目の地上子を設置し、目標地点の位置を設定します。
- 地上子種別番号 (type): 1029
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): d × 1000 + s ただし
- d は地上子から目標地点までの距離 (0~9999 メートル)
- s は、999 (列車が目標地点を通過する場合) または 0 (列車が目標地点で停止する場合。主に停車駅で使用)
- 設置位置: 1028 番地上子の直後
- 使用可能なバージョン: v1.0 以降
例えば、午前 9 時 12 分 34 秒に 1500 メートル地点を通過するように設定するには以下のようにします。
1000;
Beacon.Put(1028, -1, 33154);
Beacon.Put(1029, -1, 500999);
この機能では加速し過ぎてもブレーキをかけることはないため、以下のような場合には早着することがあります。
- 目標時刻設定地上子を通過する時点で速度が速すぎる場合
- 下り勾配で列車が自然に加速する場合
この機能では信号や制限速度による減速を考慮せずに速度を計算するため、地上子から目標地点までの間で減速が発生すると遅着することがあります。また、制限速度に近い速さで走っているときは制限速度を守ることを優先するため遅着することがあります。
駅出発時刻設定
TASC が列車を停車させた地点でドアの開閉がない場合に列車を出発できるようにする時刻を設定します。
通常、停止位置設定地上子で設定された地点に TASC が列車を停車させたとき、ドアが開閉すると停止位置の設定が消去されて TASC のブレーキが解除されます。しかし停車時にドアの開閉が起こらないシナリオでは停止位置が消去されることがないため TASC ブレーキが解除されるタイミングがなく、そのままでは永久に列車が出発できなくなります。このような場合に駅出発時刻設定地上子を設定すると所定の時刻に停止位置を消去してブレーキを解除させ、列車を出発させることができるようになります。
- 地上子種別番号 (type): 1032
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 列車を出発できるようにする時刻を、正子 (午前 0 時) からの秒数で指定します。例えば午前 9 時 12 分 34 秒は 33154 (= 9 × 60 × 60 + 12 × 60 + 34) となります。
- 時刻によらず、停車したらすぐに出発できるようにするには -1 を指定します。
- 設置位置: TASC 停止位置の直前 (数メートル手前)。
- 駅出発時刻設定地上子を通過した後の最初の TASC による停車に対してのみ効果があります。複数回の停車に対して効果を及ぼすにはそれぞれの停車の前に駅出発時刻設定地上子が必要です。
- 使用可能なバージョン: v1.13 以降
信号開通時刻設定
信号が停止信号からそれ以外に変わる時刻を設定します。
路線で使用されている信号インデックスの組合せによっては、閉塞に対する信号インデックス設定を行っても ATO が前方にある信号の変化を認識できないことがあります。列車が停止信号で停止した後、信号が変わっても ATO がそれを認識できずに発車できない場合は、この地上子を設置することで ATO が信号を無視して発進できるようになります。
- 地上子種別番号 (type): 1018
- 対応する閉塞 (section): 対象となる閉塞の相対位置 (通常は 1)
- プラグインに送る値 (send data): 信号が停止信号以外に変わる時刻を、正子 (午前 0 時) からの秒数で指定します。例えば午前 9 時 12 分 34 秒は 33154 (= 9 × 60 × 60 + 12 × 60 + 34) となります。
- 設置位置: 列車が停止する位置よりも前
- 通常、ATO は停止信号になっている閉塞の 51 メートル手前に列車を停止させます。それよりも前に設置してください。
- 使用可能なバージョン: v1.14 以降
この地上子を使用する場合は、列車が停止する位置の直後に信号現示受信地上子を設置してください。これにより、発進直後に正しい信号を ATO が再認識できます。信号開通時刻設定地上子だけだと、信号がどの現示に変わったのか ATO が認識できません。
互換性関係
互換モード設定
プラグインが認識する地上子の種類を切り替えます。
- 地上子種別番号 (type): 1001
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 以下のどれか
- 0: 互換モード無効
- 1: 汎用 ATS プラグイン互換モード
- 2: メトロ総合プラグイン互換モード
- 3: ATS-SW/P2 プラグイン互換モード
- 4: 小田急線向け ATS プラグイン D-ATS-P 互換モード
- 5: 小田急線向け ATS プラグイン CS-ATC 互換モード
- 6: 東京メトロ準拠 TASC プラグイン互換モード
- 設置位置: 互換モードを切り替えたい地点 (通常は 0 メートル地点)
- 使用可能なバージョン: v0.6 以降
プラグイン起動時の互換モードは無効です。この地上子で互換モードを有効にすることで、他のプラグイン用に設置された地上子の一部を自動運転用に流用できるようになります。
汎用 ATS プラグイン互換モード
互換モード設定地上子で汎用 ATS プラグイン互換モードを有効にすると、TASC 停止位置設定地上子 (相対式) として 1030 番の他に 30 番を使用できるようになります。
- 停止位置設定
- 地上子種別番号 (type): 30
- 対応する閉塞 (section): -1 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 地上子から停止位置までの距離 (0~9999 メートル) に 1000 を掛けたものを指定します。例えば距離が 450 メートルなら 450000 となります。下三桁 (一の位から百の位まで) は汎用 ATS プラグインで減速度を補正するために使用されていますが、bve-autopilot プラグインでは無視します。
- 設置位置: 通常の相対式停止位置設定地上子と同じ。
- 使用可能なバージョン: v0.1 以降
- v0.8 以前は、互換モードの設定に関係なく種別番号 30 の地上子が停止位置設定地上子として認識されていました。v0.9 以降は汎用 ATS プラグイン互換モードを設定したときのみ認識されます。
メトロ総合プラグイン互換モード
互換モード設定地上子でメトロ総合プラグイン互換モードを有効にすると、CS-ATC 路線用に以下の地上子が認識されるようになります。
- 前方現示予告
- 信号現示受信地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 31
- 対応する閉塞 (section): 対象となる閉塞の相対位置 (通常は 1)
- プラグインに送る値 (send data): 任意 (使用しません)
- 設置位置: 閉塞より手前の任意の位置 (通常は新しい閉塞に入った直後の位置)
- 使用可能なバージョン: v0.6 以降
- ORP 起動
- 地上子種別番号 (type): 12
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 停止位置までのメートル単位の距離 (48 または 79)
- 設置位置: ORP を起動する位置 (信号インデックス 35 の閉塞に入る位置)
- 使用可能なバージョン: v0.7 以降
ORP に対応した減速は以下の互換モードで動作します。
- メトロ総合プラグイン互換モード (v0.7 以降)
- 小田急線向け ATS プラグイン CS-ATC 互換モード (v1.19 以降)
- 東京メトロ準拠 TASC プラグイン互換モード (v1.19 以降)
ORP 起動地上子を通過するか信号現示受信地上子で信号インデックス 35 の閉塞を認識した場合に、ORP の照査に抵触しないように減速して進行します。25 km/h からの 48 メートルの照査と 35 km/h からの 79 メートルの照査に対応しています。ギリギリの速度で ORP の照査が始まると減速が間に合わない可能性があるため、ORP 起動地点よりも手前に信号現示受信地上子を設置し早めに減速を開始させることを推奨します。
なお、下記の停止位置設定地上子は v1.3 で廃止しました。
- 駅停車予告
- 相対式停止位置設定地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 32
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 任意 (使用しません)
- 設置位置: 停止位置の 500 メートル手前
- 使用可能なバージョン: v0.6 以降 v1.2 まで
- 停止位置目標
- 相対式停止位置設定地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 17
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 任意 (使用しません)
- 設置位置: 停止位置の 11 メートル手前
- 使用可能なバージョン: v0.6 以降 v1.2 まで
ATS-SW/P2 プラグイン互換モード
互換モード設定地上子で ATS-SW/P2 プラグイン互換モードを有効にすると、以下の地上子が認識されるようになります。いわゆる全線 P 路線で ATS-SW/P2 用の地上子を流用することができます。
- ATS-P パターン設定
- 信号現示受信地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 3
- 対応する閉塞 (section): 対象となる閉塞の相対位置
- プラグインに送る値 (send data): 任意 (使用しません)
- 設置位置: 閉塞より手前の任意の位置
- 使用可能なバージョン: v0.9 以降
- 制限速度パターン設定
- 制限速度設定地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 6, 8, 9, 10
- 四つの種別番号に対してそれぞれ独立して制限速度を設定できます。プラグインは全ての制限速度に従って運転します。
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): d × 1000 + s + 10 ただし
- d は地上子から制限速度が変化する地点までの距離 (0~9999 メートル)
- s は制限速度 (1~989 km/h)
- ATS-P では実際の制限速度より 10 km/h 高い速度で照査されることが多いため、bve-autopilot は ATS-SW/P2 プラグインの照査速度より 10 km/h 低い速度で運転します。
- 設置位置: 制限速度が変わる地点または必要に応じてそれより手前の地点。(制限速度設定地上子の説明を参照)
- 使用可能なバージョン: v0.9 以降
- 制限速度パターン消去
- 制限速度パターン設定地上子で設定した制限速度を解除します。
- 地上子種別番号 (type): 16, 18, 19, 20
- 四つの種別番号はそれぞれ順に種別番号 6, 8, 9, 10 に対応し、その地上子で設定した制限速度を解除します。
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 任意 (使用しません)
- 設置位置: 制限速度が解除される地点。
- 列車は最後尾がこの地点を通過してから再加速します。
- 使用可能なバージョン: v0.9 以降
小田急線向け ATS プラグイン D-ATS-P 互換モード
互換モード設定地上子で小田急線向け ATS プラグイン D-ATS-P 互換モードを有効にすると、以下の地上子が認識されるようになります。小田急線向け ATS プラグイン搭載車両用に作られた D-ATS-P 使用路線で地上子の一部が流用できます。
- 制限速度パターン発生
- 制限速度設定地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 4
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): d × 100 + s / 5 ただし
- d は地上子の位置を指定するために小田急線向け ATS プラグインで使用されていますが、bve-autopilot では無視します。
- s は制限速度 (5~495 km/h の範囲で 5 の倍数のみ指定できます) または 0 (制限速度を解除する場合)
- 設置位置: 制限速度が変化する地点の 300 メートル手前
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
- 最高速度設定
- 制限速度設定地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 5
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 制限速度 (1~999 km/h)
- 設置位置: 制限速度が変化する地点
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
- 小田急線向け ATS プラグインではこの地上子を設置しない場合に自動的に最高速度 100 km/h が設定されますが、bve-autopilot では自動的に最高速度は設定されません。
- 信号機の灯数取得
- 信号現示受信地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 22
- 対応する閉塞 (section): 対象となる閉塞の相対位置
- プラグインに送る値 (send data): 対応する閉塞に設定されている信号インデックスの種類を表す以下の整数
- 3:
Section.Begin(0, 2, 4, 5, 6, 7)
(3 灯式) - 4:
Section.Begin(0, 2, 3, 4, 5, 6, 7)
(減速型 4 灯式) - -4:
Section.Begin(0, 1, 2, 4, 5, 6, 7)
(警戒型 4 灯式) - 5:
Section.Begin(0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7)
(5 灯式)
- 3:
- 設置位置:
- 閉塞より手前の任意の位置で認識されます。
- 小田急線向け ATS プラグインでは、一つ手前の閉塞の 20 メートル手前に設置することになっています。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
- 次停車駅位置設定
- 絶対式停止位置設定地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 200
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): d × 10 + i ただし
- d は停止位置 (路線データ内の距離程) をメートル単位で指定します。
- i はホームドア連動灯の挙動を指定するために小田急線向け ATS プラグインで使用されていますが、bve-autopilot では無視します。
- 設置位置: 通常の絶対式停止位置設定地上子と同じ。
- 小田急線向け ATS プラグインでは地上子が指示している停車駅の一つ前の停車駅の停止位置の 5 メートル手前に設置することになっていますが、bve-autopilot では地上子が指示している停止位置より手前の任意の位置で認識可能です。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
小田急線向け ATS プラグイン CS-ATC 互換モード
互換モード設定地上子で小田急線向け ATS プラグイン CS-ATC 互換モードを有効にすると、以下の地上子が認識されるようになります。小田急線向け ATS プラグイン搭載車両用に作られた CS-ATC 使用路線で地上子の一部が流用できます。
- 前方現示予告
- 信号現示受信地上子として認識されます。メトロ総合プラグイン互換モードと同様です。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
- ORP 起動
- メトロ総合プラグイン互換モードと同様です。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
- 次停車駅位置設定
- 絶対式停止位置設定地上子として認識されます。小田急線向け ATS プラグイン D-ATS-P 互換モードと同様です。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
東京メトロ準拠 TASC プラグイン互換モード
互換モード設定地上子で東京メトロ準拠 TASC プラグイン互換モードを有効にすると、以下の地上子が認識されるようになります。東京メトロ準拠 TASC プラグイン搭載車両用に作られた CS-ATC 使用路線で地上子の一部が流用できます。
- 前方現示予告
- 信号現示受信地上子として認識されます。メトロ総合プラグイン互換モードと同様です。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
- ORP 起動
- メトロ総合プラグイン互換モードと同様です。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降
- TASC パターン発生
- 相対式停止位置設定地上子として認識されます。
- 地上子種別番号 (type): 21, 22, 23
- 対応する閉塞 (section): 任意 (使用しません)
- プラグインに送る値 (send data): 地上子から停止位置までの距離 (1~999 メートル) を指定します。
- 千の位以上の桁は bve-autopilot では無視します。通過駅設定には未対応です。
- 設置位置: 通常の相対式停止位置設定地上子と同じ。
- 使用可能なバージョン: v1.19 以降