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なぜBeagleBone Blackを使うのか

 何を書こうかと思案していたところ、オーバーシー・パブリッシングの西田先生が、かなり近い思いを語っていましたので、そのまま引用させていただきます。


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Oversea Publishing
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安価なパソコンを経済的弱者である中高生や、新興国で普及させるという目的であるなら、Raspberry Piの存在意義も分からない訳ではない。しかし、このボードをプログラマやエンジニア、もしくは学生に勧めることは、"教育"という観点から捉えれば、極めて罪深い指導だと私は考える。

* Raspberry Pi がなぜもてる? Arduinoについで、DIY communityにおいて急速に広まりつつある、英国生まれのRaspberry Pi。日本でも既に多くの雑誌で特集が組まれ、書籍も続々発刊されている。 http://www.raspberrypi.org

なぜに、このような"教育"には程遠い代物が、世界的にもてはやされるのか、私には訳ワカメでございます。特集記事や書籍の執筆者は、果たしてこのボードの正体をきちんと調べているのでありましょうか?

Raspberry Piのホームページのタイトルには、"An ARM GNU/Linux box for $25. Take a byte!"と書かれているが、いくら安かろうとも、オジサンはこんな"無味乾燥なパイ"を囓りたくはございませんです、ハイ。

Raspberry Piの心臓部は、SoC (System On a Chip)と呼ばれる半導体チップの複合体であり、ARM11プロセッサ、GPU、DRAMを搭載したBROADCOM社のBCM2835がその本体。

ARM11ファミリに関する技術文書は多数存在するが、BCM2835独特のGPUやI/O周りは、当然のことながら、デバイス自体のデータシートがなければ把握できない。

そこで、BROADCOM社のホームページ上で公開されている、BCM2835のページを見て頂きたい。 http://www.broadcom.com/products/BCM2835

驚くほど、"スカスカ"のページでございます。「ひょっとしてドメインが乗っ取られて、どっかのステマに飛ばれされているのかしらん?」と、思わず疑ってしまうほどの、スカスカぶりであります。

しかし、これはステマではないのでございます。その証拠に"Request Product Info to learn more about Broadcom products"とある。"more"と言えるほどの情報をあんたらは書いておるんか!と、小一時間問い詰めたい。

データシートがなければ、ハッキングすることは不可能。当然のことながら、力のあるハッカーは"But I demand the documentation for the chip. Give it to me!"と詰め寄る。 http://www.raspberrypi.org/faqs

その答えは、"To get the full SoC documentation you would need to sign an NDA with Broadcom."という素っ気ないもの。NDAとはNon-Disclosure Agreement。

即ち、BROADCOM社と秘密保持契約を交わさなければ、ご開帳にはあやかれないということ。一介のホビィストが大企業とNDAを交わすことは、事実上不可能でありましょう。

安価なパソコンを経済的弱者である中高生や、新興国で普及させるという目的であるなら、Raspberry Piの存在意義も分からない訳ではない。しかし、このボードをプログラマやエンジニア、もしくは学生に勧めることは、"教育"という観点から捉えれば、極めて罪深い指導だと私は考える。

"教育者たるもの、story tellerでなければならぬ" そのためには、教材の選定に際しても、細心の注意を払いつつ十分な吟味を行うべきだろう。"物語"と"優れた文書"を兼ね備えた製品というのは、世界でも数少ないのだから。