国鉄改革 - izudon/izudon.github.io GitHub Wiki
⓪ 全般
- 年号は和暦。
- 月が省略された場合、年度で切れているイメージ。
国鉄総裁年表
歴代の国鉄総裁 より 関連部分抜粋
- 十河信二 (S30.5-S38.5) 東海道新幹線建設費問題で2期目の任期満了に伴い退任
- 石田禮助 (S38.5-S44.5) 高齢により勇退
- 磯崎叡 (S44.5-S48.9) 「マル生運動」の違法性指摘・現場混乱を受け辞任
- 藤井松太郎 (S48.9-S51.3) スト権奪還ストに対する対応の責任を取り辞任
- 高木文雄 (S51.3-S58.12) 国鉄再建に関して政府の圧力を受け辞任
- 仁杉巌 (S58.12-S60.6) 国鉄独自の再建案の責任を取り辞任
- 杉浦喬也 (S60.6-S62.3.31) 運輸省から送り込まれた最後の国鉄総裁
国鉄基本年表
- 黒字の時代
- S24 国鉄発足|独立採算制
- S39 東海道新幹線(東京〜新大阪)開業/東京オリンピック
- 赤字の時代
- S40 S39 年度決算 経常赤字
- S42 S41 年度決算 累積赤字
- S45-46 マル生(生産性向上)運動の失敗
- S47.3 山陽新幹線(新大阪〜岡山)開通
- S47 S46 年度決算 償却前赤字(運営費を借金で補填する状態)
- 労務の時代
- S48 上尾事件
- S50.3 山陽新幹線(岡山〜博多)開業
- S50 スト権スト
- S51 202億円裁判
- S53 ゴーサントオのダイヤ改正
- 分割民営化の時代
- S57.3 東北新幹線(大宮〜盛岡)開業
- S57.11 上越新幹線(大宮〜新潟)開業|作るべきものはみんな作った!
- S58 高卒新規採用全面停止
- S60 余剰人員対策本部
- S62 JR発足
経営計画年表
- S24 国鉄発足
- S32 第一次長期計画スタート
- S36 第二次長期計画スタート(S39 経常赤字)
- S40 第三次長期計画スタート(S41 累積赤字)
- S44 第一次再建計画スタート(再建特別措置法)
- S47 第二次再建計画の廃案(「幻の〜」)
- S48 第二次再建計画スタート(再建特措法改正)
- S51 第三次再建計画(仮称)
- S55 最後の再建計画
著者職歴
- 新人時代
- S38 入社|十河総裁講演「有法子」
- S42−43 アメリカ留学
- 総務経理
- S46- 経営計画室 主任部員(長期計画|第二次再建計画に従事)
- S48.12-50 経理局 主計2課(設備投資予算)
- S50-51 経理局 主計1課(損益予算)
- 地方・労務
- S52.3-53 静岡鉄道管理局 総務部長
- S54-55 仙台鉄道管理局 総務部長
- 分割民営化
- S56 経営計画室 計画主幹 兼 総裁室 調査役 第二臨調担当
書籍の構成
- 第1章 線路を枕に討ち死に
- (昔話)入社|十河総裁「有法子」
- (昔話)東海道新幹線 開業物語「万里の長城」島技師長 etc.
- (理論)電化の決断は正しく新幹線はその先にある
- (理論)制度的欠陥|運賃のみに依存しながら国民経済投資を行う宿命
- (経営)第三次長期計画|膨大な設備投資計画で
- 第2章 赤字転落・借金漬け経営へ
- (理論)インフラ投資の経済学理論
- (理論)東海道新幹線 新幹線他線や航空との経済性比較
- (経営)第三次長期計画〜修正第二次再建計画まで
- (理論)「クリームオフ現象」
- 第3章 「スト権スト」前後
- (労務)マル生運動挫折、上尾事件、スト権スト、202億円裁判
- (労務)「構造的欠損論」と「しがらみ論」、高木総裁
- (経営)第三次再建計画(仮称)〜最後の再建計画
- (労務)著者 静岡時代 労務と格闘
- 第4章 職場規律是正への戦い
- (労務)「首なし専従」の再雇用|ゴーサントオ|経営合理化と動労
- (労務)著者 仙台時代|組織の衰退と内部との関連について
- 第5章 行き詰まった国鉄再建
- (経営)S52−54の経営状況、第三次再建計画、最後の再建計画。
- (経営)第二臨調、非公式勉強会、田村勉強会、瀬島龍三、大谷健。
- (理論)分割民営化|競争による経済最適再び
- (労務)運行可能論(202億円裁判の一部を棒引きしたい労組と職員局)
- 第6章 三塚委員会と第二臨調の攻防
- (労務)ブルトレヤミ手当 ー> 返還をめぐり国労と動労に方針の違い
- (経営)三塚委員会、K・I・M の暗躍、自民党現地視察
- (経営)答申|再建監理委員会(八条委員会)|政府非常事態宣言 緊急11項目
- 第7章 「撃ち方やめ」にしたい国鉄上層部
- (労務)職員局へ異動|動力車乗務員の勤務改正|国労と動労|職員局
- (経営)三塚交通部会長と林淳司氏気脈通じ「入口論」へ踏込み|書籍化
- (労務)余剰人員対策三本柱|雇用安定協約の破棄通告
- 第8章 改革派への圧力強まる
- 第9章 分割民営化路線の急展開
- 第10章 最後の天王山を突破
- 第11章 分割民営化前夜
- 第12章 国鉄改革とは何だったのか
① 経営計画
全般
- 第一〜三次長期計画 は 設備投資計画
- 第一次再建計画から は 経営再建計画
- 出資と借入金の違い
- 出資と利子補給の違い
運賃値上げの理由
第三次長期計画まで
「設備投資をやるお金を運賃値上げで出させてください」
- ・・・いろいろとおかしい。
- 運賃値上げにより利用者が減ることが想定できていない。
運賃を値上げしても利用者が減れば、いくら予定していても
設備投資資金はその通りには出ない。 - 設備投資が最終目標であるかのような書きっぷり。
本来であれば企業としての利潤や国民経済への貢献などが
目的であるはず。これでは片手落ち。
第三次長期計画(S40-43)
- 石田総裁の就任(S38)とともに(検討が)始まる
- 首都圏の過密ダイヤの解消 を目的とした 膨大な設備投資計画
- 国の関与を目標 -> 閣議決定 OK 国会 NG
- 国からの出資 NG|財投 OK
- 借入金の金利負担 NG
- S40- 特別債(民間借入金)
鉄道はまだ独占状態。
運賃引上げで挽回のチャンスあり。
第一次再建計画(S44-)
- 10年計画 -> バラ色の未来
- 不確実性に満ちた時間軸の彼方へ問題を先送り|当座をしのぐ
- 2年はもつように作ってあると先輩。
10年計画の最初の2年だけはリアリティのある数字だという。
- 国法とした -> 担当者は「全員」
- 苦い薬を誰も飲みたがらない
- 国法が財投の裏付けとなり財投が民間資金の裏付けになる
(あなおそろしや再建10年計画(2年しかもたないのに))
- 議論されたのは4点
- ローカル線の廃止
- 過疎過密という高度成長期の構造問題。廃止を言い出すしかなくなる。
- 運賃値上げ
- 工事費に対する補助
- S40-44 5年間の工事費の借入金の利子につき 6.5% を超える部分を補給する。
- 過去債務に対する手当
- 「孫利子方式」を編み出す(大蔵省)。
過去債務の利子を財投(「財政再建債」)で穴埋めしその利子は補給する。
- 「孫利子方式」を編み出す(大蔵省)。
- ローカル線の廃止
- 不十分で不徹底
- 総裁以下全員の「不退転の決意による経営努力」という精神論
第二次再建計画(S47-)
- 第一次再建計画は S44-45 で(予定通り)破綻。
- 第二次再建計画の検討始まる。
- 第一次再建計画を下敷きに作成
- 各論
- ローカル線
- 2万キロ=幹線系1万キロ+地方交通系1万キロ
- 幹線系は網を成すもので廃止できないが、
地方交通系については考えてほしいという論理構成。
- 幹線系は網を成すもので廃止できないが、
- 但し 地元の同意 を必要とする規程。
- 2万キロ=幹線系1万キロ+地方交通系1万キロ
- 運賃
- S47 名目2割増 を含む二度の値上げを提示。
- 工事費
- 利子補給率の上乗せが検討
- 過去債務
- (書籍に記載なし)
- ローカル線
- S47.2 再建特措法改正案として国会提出 -> 激しい対決法案に
- S47.6 時間切れで廃案(鼻高々の社会党幹部)
- S47.7.7 田中角栄内閣の発足
修正第二次再建計画(S48-)
- S47.7.7 田中角栄内閣の発足
- S48 年度予算に向けて
- 各論
- ローカル線
- 運賃
- S49.3.31 予定 -> S49.10.1 延期
- 当初計画時点(第二次再建計画では S47.4 )から2年半延期。
- 損失額見積もりで1兆円。チーム内に無力感。
- 工事費
- 逆に拡大し 10.5兆円 の計画に(第一次再建計画では4兆円)
- 田中内閣の発足によりこうなる|結局政治的性質を持つものであった
- 過去債務
- S48.10 法案成立
- S48 第四次中東戦争|石油ショック|狂乱物価|列島改造論
「どちらがベースでどちらが拍車かわからない」
第三次再建計画(仮称)(S51-)
- 遅れに遅れた運賃改定のため次の一手が必要。
- S49.10 まがりになりにも運賃改定の実施
- この時点で・・・
- 運営費に対し営業収入は7千億円不足(弥縫策で間に合わない)
- 人件費は運輸収入の75%(マル生破綻と効率ベアの影響)
- 債務総額は4兆円以上、利子負担は運輸収入の20%弱。
- S50 年度予算 7千億円を「不足額」と記載(一種の開き直り)
- S51-52 2年間で一気に劣勢を挽回する方向に議論が収斂
- 各論
- ローカル線 -> 廃止 または助成の獲得
- 運賃 -> S51, 52 で5割ずつ値上げして2倍にする。
- 工事費 -> (とくになし)
- 過去債務 -> 運賃値上げの遅れによる債務については凍結(利子負担免除)
- S51 年度 すべて実現
- ローカル線 -> OK
- 172億円の助成獲得(拡大の見通しあり)
- -> 果たして S56 には 1200億円に拡大していた。
- 172億円の助成獲得(拡大の見通しあり)
- 運賃 -> OK
- 審議難航するも予定6月から5ヶ月遅れの11月実施(5割アップ)
- 1ヶ月遅れるごとに530億円失うとの広報が奏功?
- 但し代替交通機関発達した時代のため当然の如く 利用は減った 。
- 工事費
- (とくになし)
- 過去債務 -> OK
- 2兆5千億円の棚上げ実施。
- 最後の再建計画ではここに+2兆8千億円加わり、
総額5兆円の棚上げを5年据置後20年の元利均等返済となる。 - 分割民営化後の「28兆円切離し」につながる芽が出たのがこのとき。
- 最後の再建計画ではここに+2兆8千億円加わり、
- 2兆5千億円の棚上げ実施。
- ローカル線 -> OK
最後の再建計画(S55-)
- 総額5兆円の過去債務を棚上げ5年据置後20年の元利均等返済となる。
② 職場規律
構造的欠損・しがらみ論・高木総裁
- 構造的欠損
- 経営努力の外にあるものを全てひっくるめて呼ぶためにつけた呼称
- 例えば・・・
- 年齢構成の歪み(戦後引揚者などを雇用したりしたため)および
それに伴う年金や退職金積立金等の負担増。 - 運賃改定の遅れに伴う借入金の拡大
- 赤字ローカル線の維持に伴う負担
- etc.
- 年齢構成の歪み(戦後引揚者などを雇用したりしたため)および
- しがらみ論
- スト権スト以降
- 労組もやりたくてやっているのではなく労使間にある「しがらみ」の
ためにやらざるをえなくなっているのだという建前。 - 高木総裁に対し労組は微笑外交。
- 高木総裁も「労組は話せばわかる存在」との印象を持つ。
- 筆者は思ってない「労組はそんなに甘いものではない」。
- 高木総裁時代この「構造的欠損」論と「しがらみ」論による「二正面作戦」
の結果、政府助成が倍加。
著者・静岡時代
配属先発表誤り
- 著者着任直後の不慣れな状況下でいきなり判断を迫られる事態。
- 動労役員の甥をめぐる本社課長補佐からの頼みの電話
- 動労30名ほどの集団病欠
機関士養成コース事件
- 現場に差し戻した運転部長 -> ミスジャッジだった
- 辞表を手に現れる運転部長と運転所長
労組幹部にゴマをする一部キャリア
- 「兄貴のようなものです」と目に涙