About ALIEN88 MkII - hanachi-ap/alien88mk2 GitHub Wiki

ALIEN88 Mk-IIについて

「ALIEN88 Mk-II」は、PC用の高機能メカニカルキーボードです。ゲーミングシーンやオフィスでの作業、趣味の用途など、幅広いニーズに対応できるよう設計されています。

ALIEN88 Mk-IIは2022年にリリースしたALIEN88の後継機の位置づけの機体で、ALIEN88で好評だった特徴は継承しつつ更に使いやすく改良しました。

自由な自作キーボード

「ALIEN88 Mk-II」は、ユーザーが自分で組み立てる自作キーボードキットとして頒布されます。

自作キーボードは、大手メーカーの既製品では対応できないニッチなニーズを満たすことができるため、日本だけでなく世界中で人気が高まっています。「ALIEN88 Mk-II」も一般的な市販キーボードにはない特長や機能を備えています。

自作キーボードの最大の魅力は、その自由さにあります。キースイッチの交換、キーキャップの交換、キーレイアウトの変更、さらにはファームウェアの改造まで、すべてが自由です。つまり、自作キーボードはユーザーにとって、自由にコンピューティングを楽しむための出発点となるのです。

「ALIEN88 Mk-II」は自作キットですが、初心者の方でも簡単に組み立てられるよう設計されています。これから自作キーボードに挑戦したい方は、ぜひこの機会に「ALIEN88 Mk-II」で自作キーボードの世界を体験してみてください。

ALIEN88 Mk-IIの特長

ALIEN88 Mk-IIキーボードの特長を簡潔にまとめました。自作キーボードや自ら開発したキーボードについて話すと延々オタク語りを始めてしまいそうです。各説明の背景にある開発の思いについてはまた別の機会を設けてお話ししたいと思います。

コンパクト & スタイリッシュ

コンパクトなキー配列が特長です。通常のキーボードからテンキーを省いたTKL(Ten Key Less)サイズをベースにしており、ローセンシティのマウス操作に必要なデスクトップスペースを確保するのに役立つでしょう。物理的なキー配列はUS英語配列をベースにしていますが、日本語環境でも使用できます。

薄くて引き締まったスレート状のボディは厚さわずか8.6mm。キートップまでの高さは約20mmで、パームレストなしでも快適なタイピングが可能です。

キーピッチは横19mm、縦17mmで、一般的なキーボード(19x19mm)よりも縦方向がやや狭くなっています。これにより、奥のキーまで手が届きやすく、快適なタイピングをサポートします。一番上のファンクションキーへのアクセスもより近く感じるでしょう。

ライバルに差をつける拡張キー

キーボードの左側には10個のエクストラキーが配置されています。これらのキーは、アプリケーションやゲームでショートカットキーやマクロを定義するために自由に使用できます。アプリケーションごとに異なる割当を行うこともでき、各ソフトの利用用途に応じてカスタマイズすることで、利便性が向上します。

分割スペースバーと親指拡張キー

スペースバーは中央で分割されており、下には2つの追加キーが配置されています。日本の古いユーザーには、往年のOASIS親指シフトを思い起こさせるかもしれません。

これらのキーは、スペース入力以外に、ControlやShiftなどのモディファイアキー、日本語入力の変換/無変換キー、レイヤーコントロールなど多様に活用できます。

くるくると回せるロータリーエンコーダー

キーボードの左上には、左右にくるくると回すことができるロータリーエンコーダーを配置しました。もちろん、ロータリーエンコーダーの動作もユーザーが自由にカスタマイズできます。

例えば、オーディオボリューム変更、画面の左右スクロール、描画線幅の変更、オブジェクトの回転、写真編集時のパラメータの増減など、利用するアプリケーションごとに活用のバリエーションは無数にあります。

左手を 10個のエクストラキーとエンコーダ部分に置き、右手はマウス操作というスタイルで素早く快適な操作を行っていけることを狙っています。あなたご自身の活用シーンを想像してみてください!

シーンを演出するフルカラーLED

このキーボードには、すべてのキーにフルカラーLEDが配置されており、20種類以上のエフェクトで演出が可能です。ゲーミングシーンを盛り上げたり、デスクトップのデザインとして楽しんだりすることができます。

すべてのキーは再割り当て可能

すべてのキーを完全に自由に再割り当て可能です。 CAPSキーをControlキーに変えるような簡単なカスタマイズはもちろん、Dvorak配列やEucalyn配列などキーマップ全体を大きく書き換えるようなカスタマイズまでお好みのままなんでも可能です。後述のマルチレイヤー機能を用いれば、QWERTYとEycalynを一つのキーボードで共存させ自在に切り替えるということもできます。

出荷時のキーマップはあくまでサンプルなので、組み立てたあとは早速ブラウザを使って直感的にキーマップを編集してみてください。

マルチレイヤー

キーボードは最大9つのユーザーレイヤーに対応しており、異なるアプリやタスクに適したキーレイアウトを定義できます。カスタムキーマップはキーボード本体に保存され、いつでも自由に呼び出すことが可能です。

キースイッチとキーキャップは自分の好みでカスタマイズ

このALIEN88自作キットには、キースイッチやキーキャップは同梱されません。ユーザーは市販されている数多くの選択肢から、好みに合わせて自由に組み合わせることができます。

スイッチは、タクタイルスイッチ、クリッキースイッチ、リニアスイッチなどがあり、それぞれにはキーを押し込むときに必要な重さに応じたバリエーションがあります。市販の多種多様なスイッチを後からでも交換することができます。

また、キーキャップについても同様に自由に交換可能です。個性的なデザインのキーキャップを使用したり、自分だけのオリジナルキーボードを作ることも可能です。

サンプル画像で使用しているオレンジがアクセントになっているキーキャップは、「ChocFox Legends Keycapset」です。ALIEN88はこのキーキャップに適合するように設計されており、キーキャップのデザインやサイズがぴったり合います。

N-keyロールオーバーとアンチゴースト

複数のキーが高速に連続して押された場合でも、キーコードを正確にホスト側に送信するNキーロールオーバー対応。また、同時に多くのキーを押しても、無関係なキーコードが送信される「ゴースト」が発生しません。

簡単組立て

ALIEN88 Mk-IIの頒布キットは、マイコンやLEDその他の部品がほとんど取り付け済みで、ファームウェアもマイコンにインストール済みの状態でお届けします。ユーザーははんだ付けを行う必要はなく、部品をはめ込んだりドライバーでネジ止めするだけのシンプルな構造ですので、初めて自作キーボードに挑戦する方でも安心していただけます。

スペック

  • サイズ: 330mm x 130mm x 8.6mm (突起部除く)
  • キー数: 90
  • ロータリーエンコーダー: 1
  • USB: Type-C
  • MCU: RP2040 (基板実装)
  • ファームウェア: QMK Firmware (出荷時書き込み済み)
  • ボディカラー: ブラック (光沢アクリル)
  • 筐体構造: アクリル+FR4 サンドイッチ構造

ALIEN88 との差異

ALIEN88 Mk-IIは2023年3月にローンチされたALIEN88の後継機です。基本的なコンセプトや構造は変わりませんが、以下の点が変更されています。

  • 左側1列、右側1列にあった拡張キーを、左側2列に集約しました。
  • 前モデルのキーボード中央手前に実装していたレバーノブを、より大型で回しやすいロータリーエンコーダーに変更しました。
  • 全体の幅が約3mm、奥行が約1mmずつ小さくなりました。

自作機ならではのちょっとxxな点

ALIEN88は自作キーボードです。メーカーが工業的に生産する最新の製品と比較するとイケてないところもあります。だいたいの事は自作キーボード全般に当てはまることだとは思いますが予めご承知おきください。

  • キースイッチには従来のロープロファイルメカニカルスイッチを採用しています。磁気検知式や静電容量式のような先端キースイッチには対応していないので、アクチュエーションポイントの調整とかはきません。反面、これまで発売されきているメカニカルキースイッチの資産から本当時に自分好みの一品を見つける楽しみがあります。

  • ボディの実装はいかにも自作キーボード然としたプレートサンドイッチ構造です。全体的な質感もプラ成形や金属削り出しボディなどとは比較になりませんがオプションの3Dプリンタ製ケースを装着するとぐっと見た目もかっこよくなると思います。もちろん自分で3Dプリントするのも大いにアリです。

  • キーボードのトッププレートは光沢のある黒色のアクリルを採用しているため指紋や手脂で汚れやすいです。気になる方はこまめに拭いてください。擦り傷もつきやすいのでご注意ください。逆に好みのアクリルをカットすれば自分スタイルのビジュアルに簡単にカスタマイズできます。

  • 打鍵感については個人差がありますが、お世辞にも良いとは言えないかもしれません。しかしまたこれも構造の中間にPORONスポンジを追加するなどカスタマイズの可能性に繋がります。

  • 開発時からChosfox社のChocFoxキーキャップセットを念頭にしていたため、ALIEN88に適合するキーキャップは限定されます。昨今は3Dプリンタでキーキャップを自作するムーブメントも見られるなどお仕着せのキーキャップにとらわれない自由さはあります。

  • 個人で開発・製造しているため販売価格は割高になってしまいます。またサポート体制も万全とは言えません。なので正直なところ品質と価格を重視するならメーカー製のキーボードをおすすめします。

これらのような一見 欠点に見えるようなことも裏を返せば冒頭に書いたように自由の対象です! お気に入りの色のプレートを加工したり、スイッチにこだわってみたり、静音材を入れてみたり、構造の素材を変えることだって 自作キーボードはなんだって自由なんです。

もこのALIEN88のコンセプトに共感していただけるなら、ぜひご検討ください!!

ALIEN88シリーズの開発の経緯

このキーボードの開発プロジェクトは、ゲーム好きの仲間内で「自作キーボードを使ってゲームを快適にプレイできないか」という軽い話からゆるやかにスタートしました。

最初はゲーム専用のコテコテな左手デバイスを作りたいというアイデアが浮かびました。紙の上でいろいろ検討したり、既存の分割式カラムスタッガードキーボードの左手部分を使って実践してみたりしましたが。しかし試作を繰り返していく中でいつも最終的には「このデバイスと一生付き合っていく覚悟があるか」という問いに立ち返ります。

瞬発力が求められるゲームでは、新しいデバイスに適応するための移行コストが非常に重要な要素の一つです。テキストタイピングの場合なら新しいキーボードでもゆっくり慣れていけますが、ゲームではそうはいきません。迷ったり、手元を見たり、操作を間違えたりすると致命的です。それまでの環境から新しい別の環境へ移行する期間が必要ですが、「慣れていないので何も達成できない期間がある」「慣れたとしても元の環境に戻れなくなる」という事態は避けなければいけない大きな課題です。

チームでの長い検討の末に結局、「普通のキーボードが一番」という結論に至りました。でも「普通のキーボード」とは何か?何が足りないのか?何を足せばいいのか?何度も議論と試作を繰り返し、ようやく完成したのがこのALIEN88です。

"ゲーミングキーボード"の定義は明確ではありませんが、ゲーミングキーボードを名乗るための要素はほぼすべて備えていると思っています。まあ、光ればゲーミングなんですけどね。

このキーボードの入手について

2024年11月に、同人ハードウェアとして頒布を開始しました。こちらのリンクから販売サイトへ飛んでください。

ALIEN88 Mk-II 自作キーボード (ハンダ付け済み簡単キット)

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以上