ice_timer - dominickchen/cmrd GitHub Wiki
作品概要
コンセプト
時計はいつでも一定で、乱れることなく1分1秒を刻んでいる。暑い日も寒い日も、嬉しい時も悲しい時も。では、その時計が示す時間は私たちにとって正しいものなのだろうか。私の1分とあなたの1分、今日の1分と明日の1分は同じだろうか。
本作は、その時々の環境に左右されながら進んでいく「時計」である。つまり、一般的な時計に必要とされる正確さ、さらには半永久性といった機能を放棄し、「時間が経過していること」だけを示している。そんな氷時計に自身を照らし合わせたとき、エイジングの本質が見えてくるのではないだろうか。
Photo by sako-san
制作者
米原秀香/ Nayeong Kim / 細倉結衣
制作過程
0. 当初の作品案
当初は氷を溶かすことによって絵を作ろうと考えていた。しかし、氷が溶けて絵ができるまでの過程全てを来場者に見てもらうことは難しく、作品の意図も伝わらないのではないかという結論に達し、もっとシンプルな作品を作ることにした。
1. 作品案の練り直し
作品案が全く定まらない9月中旬、映画『クリストファーロビン』を観に行き、プーさんの「Doing nothing often leads to the very best something」というセリフに感銘を受けた。何かやらなきゃ、考えなきゃ、と焦っていた私に「何もしない」という選択肢を見つけ出させてくれた。プーさんありがとう。そして、何もしなくても何か起こる作品を作ることにした。それが「氷時計」のはじまり。
2.作品のイメージ図(設計図)の作成、そして素材集め
まず作品のイメージ図を描いた。次にサイズを決めて行くのだが、氷の大きさが直径6cmということは製氷機の関係で決まっていたので、それを基準にそれ以外の大きさを決めていった。漏斗とテラリウムは市販のもので一番イメージに近いサイズのものを買い、もちろんベストサイズはなかったのでそれに合わせて設計図を書き換えた。漏斗を支える台は、アクリル板とアクリル棒を使って作成。アクリル板はレーザーカッターで、アクリル棒はノコギリみたいなやつで切って形を整えた。氷時計のデザイン面でのこだわりは、全て丸い素材を使っていること。角ばっていない流動的な時間を表現したつもり。
3.氷時計完成
アクリル素材で作った台が完成した時点でイメージ図とほぼ同じものが完成した。次は、これを作品としてどう見せるかを練り直す段階に入る。途中経過の発表の時、簡単にまとめると「地味」というフィードバックが多くいただいたのだが、メカニックな作品や華やかさで気を惹く作品にはしたくなかったので結構もめた。色々話し合った末、水滴をセンサーで計測し、それを表示したものを隣に置こうと決まったが、水滴の量があまりに微量すぎて計測不可能で断念。最終的に、電気できっちり動くスマホの時計と氷時計を対比させて展示する形をとった。