TV Karesansui_Prehistory - dominickchen/cmrd GitHub Wiki
「テレビ×枯山水=TV Karesansui」というアイデアに至るまでの前史
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2018年春:福岡県の太宰府天満宮を訪れた際、太宰府天満宮近くの光明禅寺という寺で昭和を代表する作庭家/日本庭園研究者・重森三玲(1896-1975)による枯山水に偶然出会う。その枯山水に強く感動し、枯山水(とりわけ重森三玲作庭の枯山水)に関心を持つ。
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2018年夏:東京都港区の福泉寺(東京メトロ麻布十番駅から徒歩3分)という寺を訪れる。この寺には重森三玲が1968年に作庭した枯山水《四十八願の庭》がある。しかし実際に寺を訪ねてみると、すでに枯山水は作庭当時の姿をとどめておらず、荒廃した状態にあった。
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《四十八願の庭》の荒廃ぶりに一度は愕然とする。しかし、Slack上でのドミニク先生とのやりとりを通して、《四十八願の庭》が枯山水という人工物の脆弱性を露呈させる特異な事例であることに気づく。また、このとき若林奮が奥多摩のゴミ処理場を舞台に構想した庭《緑の森の一角獣座》についても教えてもらう。
- 2018年9月:《四十八願の庭》を一種のランドアートとして捉え、その変化を単なる「荒廃」としてではなく「環境の作用によるAging」として映像で記録し、Aging展の作品として展示することを思いつく。このとき念頭にあったのはアメリカの美術家ロバート・スミッソンが1970年に制作した映像作品《スパイラル・ジェッティ》だ。《スパイラル・ジェッティ》はスミッソンがユタ州のグレートソルト湖に建設した同名のランドアート作品を撮影したものである。スミッソンはランドアートとしての《スパイラル・ジェッティ》が時とともに徐々に崩壊する過程を通して自然の侵食作用を可視化しようとした。この点について、私はランドアートとしての《スパイラル・ジェッティ》と《四十八願の庭》との間に共通性を感じた。というのも、《四十八願の庭》もまた(重森が意図した訳ではないにせよ結果的には)自然の浸食作用を克明に可視化しているからだ。そして、スミッソンが《スパイラル・ジェッティ》を撮影したように、《四十八願の庭》を撮影してみたらどうだろうかと考えた。
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アンドレイ・タルコフスキー(1932-1986)の映画のような静かで美しい映像を撮りたいと思う。タルコフスキーの映画を参考にしたいと考えたのは、単に美しいからというだけでなく、私が《四十八願の庭》について考えていたことに通じるテーマがたびたび扱われているからでもあった(『サクリファイス』にいたっては直接庭について語るセリフがある)。
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本格的なカメラを購入するとなると金銭的なハードルが高いので、iPhoneで4K撮影することにする。iPhoneは本格的なカメラに比べれば確かに性能が劣るものの、近年ではiPhoneをCMや映画の撮影に使用する例も少しずつ現れてきており(例えばベントレーのCM)、iPhoneでも十分に美しい映像は撮影可能だと考えた。撮影の際にはFiLMiC Proという動画撮影用アプリを使用することにした。また、撮影後の映像素材はDaVinci Resolveというソフト(無償版)で色を調整することにした。映像の編集はAdobe Premiere CCで行うことに。
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ドミニク先生が購入されたiPhone用スタビライザーを借りる。
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2018年10月中旬:福泉寺に撮影許可に伺う。断られる。落ち込む。
反省
映像作品の制作を行うときは、まず最初に撮影が可能であることを確認する!
その他
制作過程で参考にした書籍
- 石川初『思考としてのランドスケープ 地上学への誘い──歩くこと、見つけること、育てること』LIXIL出版、2018年 http://www.livingculture.lixil/publish/post-201/
- ジル・クレマン『動いている庭』山内朋樹訳、みすず書房、2015年 https://www.msz.co.jp/book/detail/07859.html
- 平倉圭「異名的うなりーーロバート・スミッソン《スパイラル・ジェッティ》」西村智弘・金子遊編『アメリカン・アヴァンガルド・ムーヴィー』森話社、2016年、210-259頁 http://www.shinwasha.com/103-3.html
資料
- 国土地理院の地図・航空写真閲覧サービス https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do#1
- ひまわりリアルタイムウェブ https://himawari8.nict.go.jp/ja/himawari8-image.htm