Campus Hack_Architecture - dominickchen/cmrd GitHub Wiki

Who

4年:水品 3年:小田、冨岡

When

2018年前期(7月26日発表)

Where

早稲田大学戸山キャンパス31号館-36号館連絡通路

What

戸山キャンパス内の建築/空間に対し、気泡緩衝材を用いて、一時的に介入・改変を行った。

Why

 戸山キャンパス内の建築は、村野藤吾や菊竹清訓といった著名な建築家によって設計されたものである。しかしながら、今日、学生がそれらの建築的価値に目を向ける機会は少ない。本制作では、こういった状況を踏まえ、戸山キャンパスの建築/空間的側面に再び光を当てることを目指した。

How

1 制作開始当初の計画

 当初は中庭に家を作り、その家の中に泊まってみる予定だった。大きさに反して活用されていない中庭を活用し、家を作り、自分の生活をキャンパスに持ち込もうとした。コンクリートとガラスが大半を占める戸山キャンパスに雑な、しかし強度のある異質なものを持ち込むことはできないかというぼんやりとした気持ちに端を発するプロジェクト。

そのときに考えていたこと&有効だったフィードバック
仮設住宅、セルフビルド、坂口恭平、アーバンキャンプ、ホームレスの家、「日本の家」(展覧会)、DIY

2 リサーチとプロトタイプ試作

 まず、家そのものの形状と作り方を調査した。家は家のサイト、作り方はブッシュクラフトやホームレスの家を調べた。この時点ではゴミとして廃棄されるペットボトルやダンボール、木の枝などを主要な材料として考えていた。(大学側に提出した提案書はこの段階のものである) 家の形の決定と並行して、ミニチュアのプロトタイプ試作を開始。外に出て寸法を測り、厚紙や紐を用いて制作。試作したものは安定性に欠け、材料も現実的ではないとのことから別の考え・材料を検討する必要性が出てきた。

有効だったフィードバック
ブッシュクラフト、サバイバルマニュアル

3 再検討

 7月17日(発表日1週間前)に試作として、設置予定場所の一つだった31号館と36号館を結ぶ通路の階段側面に、幅広の薄い素材をカーテンのように吊るした(カーテンには新宿日曜大工センターで購入した不透明緩衝材と気泡緩衝材の二つの素材を試した)。このカーテンは戸山キャンパスを吹き抜ける風を視覚的に表現するものであり、ミルチャ・カントルや大巻伸嗣の作品に着想を得ている。

ミルチャ・カントル 大巻伸嗣

 試作の結果が良好だったため、ダンボールを素材として小型の住空間を制作するという従来の方針を見直し、より見栄えの良い素材を用いて空間を演出すること(「住」にはこだわらない)へと方針を大きく転換した。その後協議の末、使用する素材を気泡緩衝材に統一し(緩衝材に加えてカラフルなネット等を用いる案もあったが、気泡緩衝材という安価な素材ひとつで如何に戸山キャンパスに創造的介入をなしうるか探るために、あえて素材は限定した)、さらに設置場所も31号館-36号館を結ぶ通路・階段のみに絞ることに決める(7月18日)。
 これと並行して、作品設計の補助線を得るために戸山キャンパスの建築・空間をあらためて実地調査した。調査の結果を踏まえ、昭和を代表する建築家・村野藤吾による31号館と旧33号館の建築的意匠を設計に反映させるという方法を採ることで、それらの建築に再び光をあてるというコンセプトを設定する(7月18日)。
 具体的な設計は、現場(通路・階段)を実際に見ながら、その場で互いに意見を出し合って決定した。最終的に、1階階段部分に緩衝材をカーテンのように吊り、また2階側面部分には緩衝材を水平方向に張り渡すという設計に決定(7月18日)。
 設計が決まったのち、現場の寸法をメジャーで計測して、緩衝材等の材料の必要量を算出し、新宿日曜大工センター等でそれぞれ購入した(-7月24日)。購入した材料は共通室に保管し、制作も主に共通室内で行った。制作は発表当日の7月26日まで続いた。

4 発表

 発表時にはリーフレットを作成・配布し、制作意図や注目してほしい点をより明示できるようにした。鑑賞者の空間への見え方や感じ方が制作のキモとなっていたので、発表中に実際にベンチに座って体験する時間を設けた。展示スペースとして用いた場所が細長い形状をしていた上に人がかなり多かったので、声を張って解説を行う必要があった。またキャプションパネルを作成し、制作の基点となる各所に配置した。