利き発酵茶 - dominickchen/cmrd GitHub Wiki

キャプション

同じチャノキという植物の葉が発酵時間の長さや方法によって異なる品種のお茶になり、香りや味などそれぞれで異なる魅力を持つようになる。私たち人間もお茶のように、年齢とともにそれぞれ違う経験を重ねることでその人自身の味が出るようになるのかもしれない。

本作品では[ Aging = 発酵 ]と定義し、発酵の度合いを人の加齢になぞらえた5種のお茶を飲み比べる。5種のお茶それぞれの色、香り、味の違いを楽しむと同時に、「経年変化によって人やモノそのものの味が出る」という"Aging"の魅力を改めて考える場を提供する。

制作者

橋田研究室:飯塚 里帆

ドミニクゼミ:上野 安貴子 水品 真実 吉田 櫻子 竹田 毬恵

制作期間

2018年9月〜12月

制作過程

班員で集まる機会を設け、ミーティングを数回行いながらアイデアを煮詰めていった。

以下、ミーティングの内容をまとめた資料からの抜粋

第一回ミーティング(9/15)

報告

  1. 企画内容:5種類のお茶の飲み比べ
  2. 緑茶、白牡丹(白茶)、鉄観音(烏龍茶)、紅茶、プーアル茶(黒茶)の5種のお茶を試飲
  3. 実際にお茶を淹れてみて、色や香り、味の違いを体験 →かなり違いがあったため、この5種のお茶を実際に使用しても大丈夫そう

( ↑ 実際に淹れたお茶:左から緑茶、白茶、烏龍茶、紅茶、黒茶)

課題

  1. お湯の温度を3種類くらい用意しなければならない →お茶の種類によって淹れる適温が異なるため。
  2. 提供時に使用する茶器をどうするか →断熱素材で一口サイズの使い捨てカップであることが望ましい。
  3. 値段設定はどうするか →スペースを広く使えるなら、お菓子とセットで提供することも視野に。

考え事

  1. 保温方法:保温ポットに直にティーバッグを入れて保温するのもアリ?
  2. 演出に和テイストを入れて、小道具として急須や陶器の茶器やお盆を使う?
  3. スムーズな提供のため整理券を配布する?
  4. 飲み比べ:クイズ形式でどのお茶をどの茶葉で淹れたのか隠して提供する? →正解の発表はお茶の色のシール(緑茶→緑、白茶→白など)を茶器の底に
  5. お茶の情報を提供スペースの各所にキャプションみたいに貼り付けたり?

第二回ミーティング(10/25)

やったこと

  1. 実際に本番で使う予定のお茶を飲んでみた。このミーティングで班員全員が5種類のお茶の味や匂い、色味の違いを確認できた。
  2. サブゼミに来ていたドミニクゼミ生に試飲してもらった。利き茶班の班員を除くと計4名のゼミ生に試飲してもらったが、お茶の味、匂い、色の違いをきちんと感じられると、企画内容については概ね好評だったように思う。
  3. 課題の洗い出しを行った。
  4. 展示当日に必要となる物や、人員の数を確認した。

ドミニクゼミ生の試飲の感想・複数人にお茶を入れて思ったこと

  1. お茶の味、匂い、色の違いはきちんと感じられる。
  2. 提供する際には、やはり5種類のお茶についての情報、例えば「ここにあるお茶は緑、白、紅、青、黒の5種類の色を名前にもつお茶です。どれがどの色のお茶か、当ててみてください」のように、少しだけ情報を出して当てさせる形式の方が、漠然とした問いにならず、そこそこ当てやすくて面白い。
  3. 複数人で飲んでいると、味や匂いの感想を言いたい時、お茶の名前がわからなくて感想を言い合いにくいから、コップの裏の答え合わせ用のシールとは別にもう一つ、飲んでいる時に表側から見てわかりやすいマーカーのようなもの(星やハートのシールなど)を付けた方が良いのでは?  ↑表側から見えるマーカーを付けた時のイメージ図
  4. 試飲のお茶を用意している時に思ったこと:提供する時に使うお盆、円形でも良いかもしれない。 ↑こんな感じで丸型に並べて、円形のお盆に乗せても良さそう。
  5. お茶を入れる時、どのコップにどのお茶を入れれば良いのかわからなくなってしまうので、コップを列に並べて、この列にはこの種類のお茶を入れる、という感じにあらかじめ決めておいた方が良い。
    • 展示の前までに、班員が「苦さ・甘さ・酸っぱさ・まろやかさ・うまみ」のような項目のチャートを各自の味覚で作成して、当日に掲示してみても面白いかもしれない。また、11月22日の中間報告までにチャートを作成できた場合、試飲した人にチャートに記入してもらって、それも展示してみたら面白いかも。

課題

  1. お盆の調達 円形のお盆なら水品さんがものづくり工房で作れるかもしれないとのこと。同時に、他の班員は、良い風合いのお盆はカフェ風のグッズが充実している3coinsのような300均に売っているかもしれないので300均や、キッチングッズの豊富な合羽橋などで、当日使うお盆を探して頂きたい。
  2. 急須の調達 急須は班員から募っただけでも必要な数集まりそう。もし足りなくてもドミニクゼミや橋田研究室の皆様に募集をかければ、十分に集まると思われる。
  3. 電子ポットの調達 班員以外でも、持っている人はなかなかいないかもしれない。聞いてみた限り、現時点で持っている人はいなかった。ただ、amuに備品として備わっている可能性もあるみたいなので、そこのところの調査も必要かと。
  4. 展示の空間の作り方
    • 試験官に5種類のお茶を入れて色の違いを分かりやすく展示する。
    • お盆にお茶の種類のヒントを書いた紙をラミネート加工して貼りつける。
    • お茶の味を評価したチャートを貼り付ける。

橋田研究室での講評会

指摘されたこと

展示のメッセージ性が薄い。

この作品で伝えたいこと 

  • 同じチャノキという植物の葉が発酵時間の長さや方法によって異なる品種のお茶ができ、それぞれの味の良さがあるように、人も歳を重ねることでそれぞれ違う経験を重ねその人自身の味が出るようになる(からエイジングも悪くない)

    • 今の体験の流れだと、「お茶の発酵の仕方によって異なる味が出る」ことはわかるが、そこから「人が歳を重ねることで異なる経験を重ねその人自身の味が出る」ことが伝わりにくい。

    • 上記の伝えたいことを、どうやって文字や言葉をなるべく使わずに伝えるかが作品のポイント。現状では寒い中足を運んでくれた来場者に、ただお茶を渡して飲み比べてもらうだけの体験になってしまっている。

課題

一連の体験によって上記の伝えたいことを来場者が自然と理解できるような体験の設計や、作品の展示方法の模索

解決策

お茶の発酵度合いを人間の一生に例えて、お茶を提供するコップにピクトグラムを貼る。

中間進捗報告から当日まで

竹田

  • 保温ポットを探す(緑茶や白茶は温度が低めのお湯で淹れることが望ましいため、任意で設定された温度に保温できる電動給湯ポットが必要)

上野

  • ニトリで木の丸い盆を6つ購入

水品

  • 使い捨ての紙コップを追加で購入

吉田

  • プリンターで印刷できるシールの購入

飯塚

  • 茶葉の追加購入を検討
  • 当日の仕事内容や体験の流れをプランニング
  • ティファール(保温機能なし)の調達

全員

  • 自宅にある急須を確認。当日使えそうなものの写真をLINEで共有

展示当日

そして出来上がったのがこちら

グラスに入れたものも、色の見本として展示 

当日のフィードバック

  • 普段飲み慣れているお茶も名前を隠されるとわからなくなる
  • いつも全く意識しないで飲んでるお茶も、確かにエイジングと深い関わりがある飲み物。思いもよらない角度からエイジングを感じた
  • 全く同じ産地、同じ木から採れた茶葉を加工することで出来上がった緑茶や紅茶を使った方が、エイジングというコンセプトが伝わりやすかったのでは?
  • お客さんが入ってきにくかった

当日の気づき

  • お客さんがなかなか入ってこなかった。あの小部屋に誘導できるような、入ってきやすい雰囲気を作るべきだった

  • コンセプトをうまく説明するのは難しい

  • 途中から説明と体験手順がどんどん変わっていった

  • 実際にお客さんに説明する経験を重ねることで、自分自身コンセプトをよりはっきりと理解することができた気がする

  • 最終的に

    1. ピクトグラムを隠した状態で提供
    2. お客さんの前にピクトグラムを貼った空の紙コップを発酵度順に並べておく
    3. 実際に飲んでみて、前に置かれた空の紙コップと対応するようにコップを並べ替える

    という手順で体験してもらったが、完璧に発酵度順に並べ替えることができた人はいなかった

  • 特にウーロン茶の正答率が低かった ウーロン茶もホットで提供したが、ウーロン茶は普段アイスで飲むことがほとんどなので、当てにくかったのかもしれない