駒江が奥へ引つ込まうとすると - asamesi/mae GitHub Wiki
駒江が奥へ引つ込まうとすると、出会ひがしらに、礼子が八洲子の肩に手をかけるやうにしてはいつて来る。
紳二 おい、お前、なんて返事をした? 八洲子 …………。 計一 それより、向うは、どういふ理由で別れたいつて云ふんだい? 八洲子 理由は云ふ必要ないつて云ふの。でも、あたしには、あやまるのよ。自分がわるかつたつて……。だから、あたし、わからないの。 紳二 とにかく、同意はしたんだね? 八洲子 (うなづく) 紳二 ぢや、しかたがない。お父さんがいやなら、兄さんの出る番だぜ。 計一 おれや、いやだ。断じていやだ。 紳二 つまらんことを云はずに、出たらいいだらう。 計一 お前の指図は受けない。さういふ掛合ひは真つ平だ。話がすんだら、それでもういいぢやないか。 紳二 だけど、まだゐるんだらう。八洲子、どう云つて引つ込んだ? 八洲子 あたしはそれでいいけど、父にも相談してつて云つたのよ。 紳二 なかなか周到ぢやないか。誰か会つてやるんだな。(一ツ時考へて)僕が会はう。(起ち上る) 計一 あつさりやれ、あつさり……。 紳二 (出て行きながら)八洲子、お前もついて来い。
八洲子はついて行かない。長い沈黙。 クレジットカード現金化