空にはいつの間にか - asamesi/mae GitHub Wiki
空にはいつの間にか真っ黒な雲が出て、風が吹き出していましたが、折から雲の間を出た月の光りでその人を見ますと、その人はまだ若い気高い人で、身体には美しい紫色の着物を着ていましたが、なおよくその顔を見ますと、その人の口は、この国の人間のように絵で書いたものでなく、本当の赤い唇なのでした。 「アレ」 と叫んで姫は飛びおきました。 「あなたのお口は本当のお口……」 こう叫びますと、その若い人は白い歯を出してニッコリ笑いました。 「ハイ、私はこの国のあわれな片輪者です」 「まあ……あなたが片輪者ですって」 と姫は又ビックリして尋ねました。若い人は静かな声でこう答えました。 「そうです。この国は口なしの国と云いまして、この国中の人はみんな口が無いのです。鳥でも獣でも虫までもそうなので、声を出すものは一つもありません。雷と、雨と、霰と、風と、水の音――そんなものしかきこえないのです。それは昔この国中の人があんまりオシャベリだったからです」 「まあ……オシャベリなのにどうして口が無くなったのでしょう」 と姫はあんまり不思議なお話なのに驚いて、眼をまん丸くして尋ねました。 若い人はそのわけを話しはじめました。 ダイエット茶 ランキング NHK - ためしてガッテン! ガッテンダイエットクラブ