戰があつたら - asamesi/mae GitHub Wiki

「戰があつたら、もうお前ぐらゐの年のものは、軍役というて、兵粮運びなんぞに使はれるし、家にあるお米や麥は皆取り上げられ、家の納屋も燒かれる。」と、和尚さんは教へた。 「兵粮運びしたら、駄賃呉れはりまツか。」と、其の手習ひ子は、嬉しさうな顏をした。 「駄賃は呉れんな、駄賃の代りに、流れ矢を貰うて死ねぐらゐのものや。」と、和尚さんは冷に笑つた。 「人の家のお米や麥をたゞ取つて、駄賃も呉れいで兵粮運びさしまんのか。そいで家を燒く。まるで無茶やでな。……和尚さんそんな無茶しても、だいじおまへんのか。」と、横合ひから、眉を顰めつゝ問うた手習ひ子があつた。 「どうもしやうがないなア。軍人は強いよつて。……」と、和尚さんは微笑んでゐた。 「強いもんなら、惡いことをしてもだいじおまへんのやなア。」と、其の子は腑に落ちぬといふ顏をした。 「現世ではしやうがないなア。……強いといふことは、尊いといふこと、正しいといふことより、一枚上手ぢや。」と和尚さんは、矢ツ張り笑ひ續けた。 「強うならな、あかんわい。」と、誰れやらが大きな聲で、頓狂に言つたので、みんなは一時にどツと笑つた。しかし文吾だけは笑はなかつた。高級デリヘル 銀座ASK