三十一日の朝 - asamesi/mae GitHub Wiki

 三十一日の朝は霧が深く雪もチラチラ降っていました。福松君が目を覚して天気はどうかと聞いたので、大変な霧だと言ったら、それじゃ駄目だ、三月頃なら頑張ってみるが、今頃はこんな日でも鏡石辺から上は必ず強い風が吹いていて危険だ、など話しました。福松君は風邪を引いていて僕が薬を上げたが、いつもより元気が無かったようです。明るくなってから田部氏と福松君の他は一人ずつスキーの練習に出かけました。小屋より二町ほど西で小さい谷に面したところです。土屋氏が一番熱心のようでした。僕は殆んど見ていて一緒に辷ることは稀でした。昼頃から霧が晴れ鏡石辺から見えるようになったので、福松君を残してみんなで板倉氏の霊を弔いに松尾峠へ行くことになりました。それで僕もついて行ったのですが、だまって挨拶もしないでついて行ったのはいけなかったのです。うっかりしておったのですが、変な奴だと思っていられたようです。追分の小屋でちょっと休んで、いつも僕等が温泉の方をのぞくときに行くようなところから右へ急な斜面を登って松尾峠に着きました。終始兵治君がラッセルしてくれました。このとき一度でも僕が代っていたらどんなにあの人等の気持を親しくしていたか知れないと思わずにはいられません。峠の上でちょっと休んでこれから帰ろうというときになって田部氏が僕に、僕等は僕等だけで写真をとりたいから、すまないが君は先に帰ってくれませんかと言われました。台東区 保育園 http://tonnel.ru/?diary=tatakeba