ハイカラな詩人 - asamesi/mae GitHub Wiki

 私はまた、源実朝をハイカラな詩人だと思つてゐる。それは、武将にして歌詠みであるといふやうな事実からではない。その歌風についていふのである。  徳川期の文学はさすがに、「ハイカラさ」に乏しいやうである。ここでは寧ろ、「粋な文学」の代表的なものが多く生れたとでもいふのであらうか。  明治以後、かの当時ハイカラとされたに違ひない新体詩の如きは、ハイカラならざるものの骨頂である。  明治時代の小説家を、私は殆ど読んでゐないから、うつかりしたことはいへないが、なんとなく、山田美妙斎といふ人はハイカラではなかつたかといふ気がする。  ハイカラ詩人として、私は与謝野晶子夫人、並びに初期の北原白秋氏を挙げたい。  現代作家中では、芥川竜之介氏、佐藤春夫氏、室生犀星氏、などは、多くの「ハイカラさ」をもつた作家であらうと思ふ。新進作家のうちで、稲垣足穂氏、川端康成氏、横光利一氏、林房雄氏などの文章はハイカラな方であらう。  かういつたからとて、何も、私は、ハイカラなるが故に傑れた芸術作家だとは思つてゐない。そんなことは断るまでもないが、とかくさういふ勘違ひをされがちであるから、念のためにつけ加へておく。 上越の美容室