チベットと三強国 - asamesi/mae GitHub Wiki

 次にチベット外交の将来について一言して置きます。以上述べたごとくチベットは強国三ヵ国からして自分の国に迫られて居る。この強国のいずれが将来この国を支配することになるということについては、大いに世人の注意するところである。もちろんこの強国三ヵ国が合同してチベットを取ってしまうということは出来ない事情である。あるいは英国とネパールとは合同することが出来るかも知れぬ。ロシアは確かに北方から南下してチベットに侵入しようと目論見つつある。  その侵入の目的はチベットの乾燥な土地を治めるのが目的でない事は明らかであって、この天然の金城鉄壁ともいうべきヒマラヤ山脈を前にして居るチベット国、即ち天然に万里の長城を形造って充分に地の利を得たるところの国に指を染めるというは、つまりそのヒマラヤの南の麓に在る世界の富源地、即ちインドの国を征服したいという目的に出ずることは言を俟たない。そこで英国とロシアとが合同してチベットを取るというような事はむろん出来ない。露骨にいえば露国そのものが英国の領分を欲しいという訳ですから、とても合同の出来ない事はきまって居る。看護師 転職サイト