だが、一度唱へると - asamesi/mae GitHub Wiki

だが、一度唱へると不可思議な効果を現す其文句は、千篇一律であつた。後には色々の工風が積まれて、段々に、変つた文句も出て来た。此祝言が段々遊芸化し、追つては芸術化する始めであつて、喜劇的なものは可なり古くから発達し、謡などは名手は出たが、詞章の精選が、最遅れた。 千篇一律なるが故に効果のあつた祝言は、古い寿詞の筋であつた。後世の祝祭文の様に当季々々の妥当性を思はないでもよかつたのが、寿詞の力であつた。寿詞を一度唱へれば、始めて其誓を発言したと伝へる神の威力が、其当時と同じく対象の上に加つて来る。其対象になつた精霊どもは、第一回の発言の際にした通りの効果を感じ、服従を誓ふ。すべてが昔の儘になる。此効果を強める為に、其寿詞の実演を「わざをぎ」として演じて、見せしめにした。文句は過去を言ふ部分が多く加り変つて来ても、詞章の元来の威力と副演出のわざをぎとで、一挙に村の太古に還る。今日にして昔である。村人は、今始めて神が来て、精霊に与へる効果をも信じたのである。其力の源は、寿詞にある。寿詞は、物事を更にする。更は、くり返すことである。さらは新の語感を早くから持つてゐた様に、元に還すのであると言ふよりも、寿詞の初め其時になるのである。 さらはさるの副詞形である。去来の意のさるは、向うから来ることである。春の初めの猿楽も、古くから行はれたらうと思ふが、さる――今は縁起を嫌ふ――がをつと同意義に近かつたのではなからうか。猿女君のさるも、昔を持ち来す巫女としての職名であつたのではないか。 自動車保険de比較・ランキング!おすすめ一覧 http://www.jhayashida.co.jp/prime/oiki/