さうかと思ふと - asamesi/mae GitHub Wiki
さうかと思ふと、ある小説家がたまたま某大学の講壇に立つことになつたところ、彼はしばらくして辞任を申出た。その理由は講義をする張合がないといふのである。学生の顔が魚みたいでとんと面白くないと、彼は笑ひながら附け足したさうである。 これらの感想は、みなそれぞれの立場によつて特色のあるものであるが、現代日本人の顔といふものについて、一般に、やはりどこか「人間の顔」として問題にしなければならぬものがあるやうに思ふ。なにも希臘彫刻や仏像を標準にその美醜を論ずるわけではない。これも、ごくおほざつぱにではあるが、すこし畸形に近い顔が目立ち、それが単に目鼻だちが整はぬといふやうな種類のものよりも、目鼻だちをわざわざ殺すやうな精神的風景の反映によるものが多いのである。 例へば頤を不必要につき出すとか、唇を結ぶことを忘れてゐるとか、眼玉のすわりがあやしいとか、あいまいな笑ひ方をするとか、照れると不機嫌を装ふとか、欠伸は大きくするほど痛快に感じるとか、まあ、さういふたぐひのことから挙げていかねばなるまい。 大きなお世話である。そんなら鼻くそをほじつてもいかんと云ふのか? 戯談ぢやない。自分のことは自分に委しておいてもらひたい。決してご迷惑はかけぬ、と云ひたいものもあらう。大塚の美容室カット2700円!