「純粋演劇」の見本 - asamesi/mae GitHub Wiki

 要するに、「純粋演劇」の見本なるものは、将来、無数に示されるものと予想して、さて、これに伴つて、「純粋戯曲」なるものが現はれて来るであらうといふことも考へられる。或は、この方が、先に現はれるのではないかとも思ふが、それはそれとして、私は差し当り、自分の仕事として、これに向ふ一つの道を開拓することに興味を感じてゐる。  私のこれまで発表した貧しい作品が、殆んどすべて、その方向を見極めるための、右往左往であつたとも云へるのである。そしてそのことを、私は嘗て、「何かを云ふために戯曲を書くのでなく、戯曲を書くために何かしらを云ふのだ」と公言し、いくらかの誤解を招いたと記憶する。ただ、私の朧ろげに掴み得た「純粋戯曲」といふものは、恐らく、既成観念による文学としては通用し難いもので、これこそ、一連の「声と動作の符牒」にすぎないものである。そんなものを活字として発表することは、今日では無意味のやうに思はれる。それなら、舞台を通して見せるとなると、これを効果的に演出するためには、目下、適当な俳優が見当らない。今日の新劇の如く、辛うじて舞台から文学を感じて満足するなどといふわけには行かぬからである。 歯学生の質問掲示板 定期試験・進級・CBT・歯科医師国家試験対策