カーネル補間法 - YuriOku/1D_SPH GitHub Wiki
ここでは、カーネル関数の空間微分 を計算する2つの方法について述べます。
Standard gradient
1つ目は単純に微分を計算する方法で、
となります。ここで、 です。 についてはカーネル関数をご覧ください。
Integral Approach
Integral Approach (IA)は、García-Senz et al. (2012)によって提案された手法で、従来のSPH法が苦手とする Rayleigh-Taylor 不安定性や Kelvin-Helmholtz 不安定性をより精度よく扱うことができます。 まず、積分
を考えます。ここで は空間の次元です。 を点 周りで Taylor 展開すると、
となるので、高次項は無視して式(2)を式(1)に代入し、 について解くことを考えます。
1次元
1次元では、式(1)は
となるので、式(3)を について解き に式(1)を代入すると、
が得られます。 カーネル近似によってこの積分をカーネル和に置き換えると
となります。この微分は、場が線形であるとき正しい値となります。例えば、
という密度場の微分は
となります。この手法は Linear-exact gradient (Price 2004) と同値のものです (Rosswog 2015)。 しかしこの手法では運動方程式が の交換に対して反対称とならないので、運動量が保存されません。反対称とするためには、
という形になっている必要があります。そこで Integral Approach では
を仮定します。これは、粒子の分布に偏りがなく一様であるという仮定です。この仮定を用いて式(1)を
と近似します。結果として、微分(5)は
となります。これを通常のSPHでの微分
と見比べると、Integral Approach でのカーネル関数の空間微分
が得られます。
3次元
3次元でも基本的には同じですが、式(1)は
となります。ただし、 、 です。これを について解くと、
となります。 ここで
で、これをカーネル和で表すと
となります。式(12)の右辺第一項の逆行列は
と表されます。また、積分(1)の i 成分
から を消去してカーネル近似すると、
となります。関数 の微分は式(12)から
と表され、これに式(16)を代入して通常のSPHの微分と比較すると、カーネル関数の微分は
となります。
参考文献
- García-Senz, D., Cabezón, R. M., and Escartín, J. A., “Improving smoothed particle hydrodynamics with an integral approach to calculating gradients”, Astronomy and Astrophysics, vol. 538, 2012. doi:10.1051/0004-6361/201117939.
- Price, D. J., “Magnetic fields in Astrophysics”, PhDT, 2004.
- Rosswog, S., “Boosting the accuracy of SPH techniques: Newtonian and special-relativistic tests”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society, vol. 448, no. 4, pp. 3628–3664, 2015. doi:10.1093/mnras/stv225.