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2次元最適速度(Optimal velocity) モデル

(Instability of pedestrian flow and phase structure in a two-dimensional optimal velocity model Akihiro Nakayama, Katsuya Hasebe, and Yūki Sugiyama Phys. Rev. E 71, 036121 (2005) – Published 18 March 2005) OVモデル(1)とは,交通流におけるクルマの運動を微分方程式で表したモデルです. ひとことで言うと,加速度を自己の速度と最適速度の差から決めるというモデルです.

当初1次元交通流において提唱され研究が進みました. 高速道路における交通流をイメージすればわかりやすいと思います. 交通のボトルネックが存在しなくても,クルマの密度が増えると渋滞が発生することが理論的に 解明されました.一般に自然渋滞と呼ばれている現象です.

その後,2次元OVモデルが提唱され,シミュレーションなどを用いて解析が進められました. 実際のクルマの交通の場合,道路ネットワーク上の交通流ですが,このモデルでは道路ネットワーク を仮定していません.むしろ鳥の群れや魚群のなどの群行動をイメージしたほうがわかりやすいかもしれません.

2次元OVモデルを具体的に示します. j番目のロボット(粒子)の位置を $\vec{x}_j(t)$ と表すと, 2次元OVモデルは下記の運動方程式で記述されます.

\ddot{\vec{x}}_j(t) = a \left\{ \sum_k \vec{V}(r_{kj} , \theta_{kj})-\dot{\vec{x}}_j(t) \right\}  

$a$を感応度とよびます. 感応度が正である場合,自己の速度を目標値,つまり最適速度 $\vec{V}(r_{kj} , \theta_{kj})$ に近づけるように加速度を調節するモデルと言えます.

最適速度関数

では,最適速度とはどういうものでしょうか? 現実をイメージすると,車間距離が短い場合には速度を落とし,車間距離が大きくなってくると,速度を上げると 思います. しかし最高速度には限界があるので,無制限に速度を上げるというのは現実的ではありません. つまり,OV関数はシグモイド関数のような形を想定します.

原理的にはどの様な関数を与えてもよいのですが, 具体的に $V(r_{kj},\theta_{kj})$ は次式で与えられます.

\vec{V}(r_{kj},\theta_{kj})=(1+\cos \theta_{kj}) f(r_{kj}) \vec{n}_{kj}

3つの項の掛け算で表されています. 1番目の $(1+\cos \theta_{kj})$ と3番目の $\vec{n}_{kj}$ は後で述べます.

上式の真ん中にある $f(r_{kj})$ が先に述べたOV関数の性質を表しています.

f(r)=\alpha (\tanh(r-b)+c)

この関数はs字型関数と言われたり,シグモイド型関数と呼ばれたりします.